付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「スター・トレック~イントゥ・ダークネス」  監督:J・J・エイブラムス

2013-08-30 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 キャストを一新して時間を巻き戻して再始動した、新劇場版の2作目。
 とにかく『フレンチコネクション』かいっ!?って言いたくなるくらい、みんな走りづめの2時間ちょい。カークが走り、ドクターが走り、スコッティが走り、スポックが走り……って、本当に宇宙船の話かと思うけれど、そういえばエンタープライズ号も飛んでは停まり……ばかりだったなあ。

 ある惑星での任務に多少の不都合が生じ、その点を省いて航宙日誌を作成したカーク船長とその点まで含めて報告書を作成したスポック副長の食い違いから、カークは失脚してしまう。
 叱責しつつも、そんなカークに再びチャンスを与えようとするパイク提督だったが……。

 何をすべきかは分からないけれど自分に何ができるかは分かっているカークと、何をすべきか論理的に把握しているスポック副長の物語。まあ、カークの女たらしは相変わらずで、ベネディクト・カンバーバッチ無双な1作。

 総評としては「面白かった!」。いかにもスタートレックなSF冒険活劇でしたよ。ベースとなった作品を知らなくても愉しめるのは当然として、元のシリーズを愉しんだ人には隅々まで楽しめる再話。最後の対決でウフーラ大尉が登場した時は、空とぶギロチンをぶら下げてはいないかとドキドキ(吹き替え版限定)。
 予告編とかサイトの作品紹介がありきたりなSF大作っぽく(しかも間違っていたり)、悪いけどぜんぜん期待してなくて観に行くかどうか迷っていたけれど、良い意味で裏切られました。劇場の3Dで観ると、宇宙船の巨大感が出ていて壮観。
 スタトレものはアメリカ以外では大ヒットしないので、宣伝にあれこれ工夫しなければマニアしか来ない映画になるのはわかるけれど、よくあるSF大作のひな形に落とし込んで超訳した「愛」がテーマということにされると辟易。
 「スタートレック」シリーズであることを意図的に隠したがるのも、いかがなものか。日本ではテーマを「愛」にすると売れるらしいけれど、それが自分が日本映画が嫌いな理由でもある(それはヤマトで吐き気がするほど押しつけられたよ……)。面白い映画なので、結果的にファンにも一般客にも無視されることにならないことを祈ります。

【スター・トレック】【J・J・エイブラムス】【わたしの洞察力は優れている】【赤服】【性豪】【トリブル騒動】【光子魚雷】
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「魔王なあの娘と村人A(6)」 ゆうきりん

2013-08-30 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 石杷実鬼灯(いしわみ・かがち)はメデューサの個性者だが、彼女は他の個性者たちとも一線を引いて孤高を保っている。彼女は一般人どころか、物と人との区別もついていないのだ。
 そんな彼女が「個性者をやめたい」と言いだし、デッカー先生から対策を頼まれた村人Aこと佐東二郎はなんとか彼女とのコミュニケーションを試みるが、鬼灯はこともあろうか同行していた魔王に対して「普通すぎる」と言い放った。
 普通呼ばわりされるなど、魔王のアイデンティティーの危機であった……。

「人類殲滅です! 石杷実さんがどん引きして真っ青になっておそれいりましたと土下座をしてみせるような、ものすっごい人類殲滅計画を考えてみせます!」

 個性が強すぎるゆえに、世界が灰色で均一な存在としか認識できなくなった少女と、会話をすることで個性者たちにヒントを与えることのできる村人の物語。
 個性者たちが学校を出た後にテイル・ユニバースへ送り込まれてどうなるのかとか、それがどうして政府に(個性者への特権を認めさせるほどの)利益をもたらすことになるのかとか、なんか薄気味悪いブラックボックス部分は手つかずで残っているのですが、とりあえずそこは無視して「個性豊かで自己中心的な面々のひき起こす騒動にいつも巻き込まれる常識人の少年の物語」として楽しんで読んでいます。最近、魔王さまがかわいいのよ。あと死霊使いの人使いの巧さとか、ロボットの情報収集能力とか、キャラたちの個性が際立ってきているあたりがポイントです。

【魔王なあの娘と村人A】【彼女の普通とあの娘の特別】【ゆうきりん】【赤人】【電撃文庫】【将来設計】【ペットボトルロケット】【普通じゃない】
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