部活をテーマにした短編集。体育会系は佐々原史緒の「フットサル部」のみだけれど、汗と涙の青春、挫折と再生、横暴な先輩、ボーイ・ミーツ・ガールと、部活小説と聞いて真っ先に脳裏によぎる王道の展開を堪能。個人的には佐々原史緒が書いていると聞いて『暴風ガールズファイト』の番外編を期待しないでも無かったので残念。
更伊俊介は面白かったけれど、「大貧民部」という、アンソロジーの初っ端からあまり特殊なサークルの話は読みたくなかったなあという気持ちが先に立ち、ちょっと評価減。
同じ意味で「宵下様探索部」というのはいかがなものかと思ったけれど、読んでみたら「読書部」といういかにもありそうなサークルで、怪異譚としてもはぐれ者の集団の話としても面白く、続きに期待できそうな作品でした。
これに対して、嬉野秋彦の「弁論部」は作品として、青春小説としては面白かったけれど、部活アンソロジーとしては落第。だって、これ、別にどんな部だってかまわない話だもの。天文部や卓球部でも成立しちゃう。
関根パンの「軽音部」は面白かったけれど、バカが主役の話はキライ。そのおかげでバカオチになっちゃうのは好きな展開なのだけれど、素直に愉しめないのは微妙に第三者として割り切れないから。
櫂末高彰の「バビ部」も特殊なサークル。でも展開は王道。
総評として、アンソロジーとしては面白かったかな。ただ、１冊目ということで、できれば野球部や演劇部みたいなよくある部活で起きたとんでもない顛末とか、名前は普通なのに中身は詐欺みたいな話でそろえて欲しかったかなというのが、１冊読んで満足した上での欲です。
【部活アンソロジー１】【青】【B・E・T】【更伊俊介】【ねりま】【宵下様探索部】【綾里けいし】【白井鋭利】【理由なき反逆部の誰も知らない最初で最後かつ最大の戦いとその後日譚】【嬉野秋彦】【An2A】【たたくぶ】【関根パン】【NOCO】【バビ部！】【櫂末高彰】【himesuz】【サルと踊れば】【佐々原史緒】【NOCO】【霜月えいと】【ファミ通文庫】
