付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「アンの幸福」 L・M・モンゴメリ

2022-09-29 | その他フィクション
「世界にはかならず妖精がいなくてはなりませんもの。妖精なしに人はやっていけないのです。ですから、だれかしらが妖精を供給しなくてはなりません」
 アン・シャーリーは小さなエリザベスと描いた妖精国の地図にゾウの公園を描き入れた事をギルバートに報告した。

 大学を卒業し、サマーサイドの高校に校長として赴任したアン・シャーリーだが、地域の有力者であるブリングル一族から嫌われ、生徒は反抗的で、同僚教師は彼女を憎んでいる。
 ところで、四面楚歌の教師生活が始まった彼女の下宿の裏手の屋敷には、小さな少女が住んでいた。その少女エリザベス・グレーソンは母親を出生時に失い、父親は海外生活。今は彼女を嫌っている曾祖母と侍女の厳しい監督下にあった。そんな少女にアンは自分と同類の匂いを感じたのだが……。

 未亡人2人が営む幽霊小路の柳風荘(ウィンディ・ウィローズ)に下宿したアン・シャーリーが、ギルバート・ブライスに宛てて書いた手紙を中心に語られるサマーサイドの3年間の物語。気位の高い婦人たちとの対決から、プロポーズ騒ぎに巻き込まれたり駆け落ちの片棒担いだり、はたまた狂言回しで振り回されたり。あるいは話せば分かってくれる子供もいれば、暴力で解決しないとどうにもならないクソガキもいて、人間いろんなのがいるなーというのが作品のテーマのひとつ……かな。世の中、わかり合える人ばかりでないという冷静な視点が大事です。あと、人は簡単に死んでしまうんだよという1巻以来の死生観も垣間見えます。
 チャティおばさんとケイトおばさんの未亡人2人と使用人レベッカ・デューのやりとりが楽しいよね。キャサリン・ブルックのグリーン・ゲイブルズ訪問にはディケンズのクリスマスシリーズに通じるものを感じました。やっぱりクリスマスは良いよ?

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