付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「駒王神社深川家物語」 星隈真野

2010-03-16 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「占いはね。ギャンブルじゃあないんです。心の傷を拭い、迷いを断ち、決断を促す。あなたがそれを望むなら、白を黒とも言ってみせましょう」
 頭脳明晰にして傍若無人に少年店長・深川神楽の言葉。

 1年数ヶ月ぶりに実家である駒王神社に顔を出した深川丹生は、そのあまりの変貌に愕然とした。由緒正しいだけが取り柄のような寂れた神社が、カップルや女子高生グループが引きも切らずに訪れるデートスポットと化しており、社務所は喫茶スペース付きの占いの館「スカーレット・サンクチュアリ」となっていたのだ……。

 こういう話が好きなんです。頭が良いけれどつかみ所のない弟ときついけれど弟思いの姉、強面のクレープ屋にお茶名人の巫女、どう見ても人外の神出鬼没な少女、いつでもそこにいる物静かな忠犬に隠居老人、とメンバー構成は手堅く、文も巧いし、構成も手堅く、イラストだって巧い人間をつけています。それなのに、続きが出ない。別作品も見あたらない。
 話の焦点が、姉、弟、巫女、依頼人と二転三転して群像劇っぽくなってしまったせいなのか、ファミ通文庫なのに派手なバトルやえっちなシーンの1つもないのがいけなかったのか。少年向けというより、「プリンセス」とか「花とゆめ」とか少女向け雑誌に似合っていそうなのが水に合わなかったのか。
 ぼくには面白かったんだけどなあ……。

【駒王神社深川家物語】【神楽と丹生】【星隈真野】【結川カズノ】【神宮の魔女】【安倍晴明】【阿吽】【呪いのドールハウス】【コーラ】【無理心中】
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「毒きのこ・絶品きのこ狂騒記」 小山昇平

2010-03-15 | エッセー・人文・科学
「人知れずたくさん採って、皆に見せびらかして食べたい!」

 日本に自生する茸は6000種とも1万種ともいわれているけれど、正式に確認され分類されているのはせいぜい3000種。キノコ研究だけでは食べていけなくて研究者が少ないせいで研究が追いつかないのが原因のようですが、分類されているはずのものでも、市販のキノコ図鑑などでは図版の間違いどころか食用と有毒の区分を間違えているモノさえ少なくないという恐ろしい話です。
 死ぬのが怖ければ、お店で売っているキノコを買うか、保健所で食用かどうか確認してもらうしかないのですが、保健所も役所の統廃合で閉鎖されたところが多く、著者のような在野のボランティア専門家のもとにはシーズンともなると山のようなキノコが持ち込まれ外出もままならなくなるんだとか。
 そんなキノコをめぐるエピソードを集めたエッセイ集です。

 キノコを食べて死んだ人やキノコを取りに行って滑落死した人もいるし、専門家が毒だと言っているのに、半可通のマニアが食えると言って腹一杯食べたあげく一家そろって中毒することもあります。かと思えば、未分類のキノコを調べるために専門家が集まっての試食会をすることもあるのです。試食会ではキノコを細かく刻み、生で食べるか、加熱したものを口にするか、さまざまに調理したどれを食べるかでクジ引きは真剣勝負。取材に来たテレビ局もついに放映を断念する始末。
 外国人はマツタケの匂いを臭いというけれど、日本人だって山ほど採ってきてしまうと逆に臭くてたまらなくなるものなんだとか、真面目な話や悲劇もあれば悲喜劇もあり苦労譚もありという1冊です。

【毒きのこ・絶品きのこ狂騒記】【山の中の食欲・物欲・独占欲バトル】【小山昇平】【菌類学会】
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「Story Seller」 新潮社ストーリーセラー編集部

2010-03-14 | その他フィクション
 人気作家7人の読み切り作品を収録した文庫で、テーマも特に決めてないそうなのでアンソロジーでもなく、昔なら雑誌『小説新潮』で用が足りたような気がします(奥付を確認したら、まさしく『小説新潮』として刊行されたものの文庫化ということでした)。広告や特集記事や連載小説のない小説誌という位置づけでしょうか。普段馴染みのない作家に触れるには良い機会です。最近は雑誌も読まないですからね。
 テーマもないはずなのですが、たまたま読んだ作品が2本とも「ろくでもない父親に家族が苦しめられる」話だったので、これが裏テーマなのか!?と咄嗟に思ってしまいました。

 「首折り男の周辺」伊坂幸太郎
 「プロトンの中の孤独」近藤史恵
 「ストーリー・セラー」有川浩
 「玉野五十鈴の誉れ」米澤穂信
 「333のテッペン」佐藤友哉
 「光の箱」道尾秀介
 「ここじゃない場所」本多孝好

 どれも面白かったけれど、はっきり結末や真相が語られないで匂わせるだけのもの、後味が悪いものなどが多かったので、まとめて読むとちょっと辛かったです。そういう意味で、真っ当なスポーツ小説だった「プロトンの中の孤独」と見事に引っかかった「光の箱」が印象的でした。

【Story Seller】【ストーリーセラー】【ロードレース】【広告デザイン】【いじめ】【連続殺人】【旧家】【クリスマス】【超能力】
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「電波女と青春男(4)」 入間人間

2010-03-13 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「その時に思ったことは、その時にちゃんと言った方がいいんだよ。想いだって劣化するんだから」
 美容院の店長さんの言葉。

 エリオにも電波女でなかった時代があり、丹羽にも青春男になる前があった。何を考えているか分かりにくい前川さんや明朗快活に見えるリューシさんだって、他の人と同じように悩み苦しむことだってある。
 宇宙人の目撃談が多い街に引っ越してきた高校生が、目一杯青春を謳歌しようと右往左往するシリーズの前史の短編4本と、一念発起してエロ本を買いに行く丹羽真の冒険の5編を収録。

 宇宙人なんかいないということになって話は進んでいるけれど、舞台となる街にはなぜかUFOや宇宙人の目撃譚が多いし、エリオの青い髪は地毛となったら、いつかはもしかしたら……という感じがしないでもありません。

【電波女と青春男】【入間人間】【ブリキ】【家出】【天体観測】【青春ポイント】【身長差】【いじめ】
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「ガンパレード・マーチ 逆襲の刻~青森血戦」 榊涼介

2010-03-12 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
「世界を変えるのは変わり者と呼ばれる者だけだよ」
 シベリア居留地代表の藤川教授の言葉。

 海兵団が到着したが、幻獣に青森市街への浸透を許してしまう。
 堤防も小さな穴から決壊するという。懸命に死守してきた戦線が大きく崩壊し始めようとしている。
 だが、その頃、善行は原やカーミラたちと共にシベリアに飛んでいた……。

 今までちらりと存在だけが言及されてきたシベリア編の始まり。大阪師団もその本領を着々と発揮し始めますが、「粉モンがないとパワーが出ない」ということで、第4師団ではたこ焼きセットは師団備品だそうですが、本当ですか?

「相手の土俵でなんて戦ってやりません! 人類はもっと姑息で卑怯で狡猾な存在なんです!」
 思いこみに囚われるなと気炎を吐き続ける岩田参謀。

 東北編もやっと榊ガンパレらしくなってきたかなという感じです。東京クーデター編以来、遊びの余地もないきつい話ばかり続いていましたから、シビアな戦いとそれを反故にしない程度の息抜きがほどよくミックスされると安心します。

♪芝村中佐は鬼中佐
 いっつも不機嫌、ご苦労さん
 ポニテが風にゆらゆらと

【ガンパレード・マーチ】【逆襲の刻】【青森血戦】【榊涼介】【きむらじゅんこ】【正義最後の砦】【こたつ魔人】【厳島】【アントノフ】【シベリア居留地】【炊き出し】【枕投げ】【大鰐温泉】
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「ヒミツのテックガール~ぺけ計画と転校生」 平城山工

2010-03-11 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「真人間、真人間というけれど~、正しく生きることと、正直に生きることは違うんだよなぁ~、わかるかな? わっかんないよなぁ、若いウチは……」
 担任ヤネガワラの言葉。

 高校3年になってから、進路指導で筑波音女子高専への編入を進められた本瀬ハルミ。
 学費が安いとか試験費用免除とか良いこと言いながら手続き書類が機密扱いというのも問題だけれど、うまいこと送り出されたハルミにしても自分が言うほど“ごく普通”の女子高生といえるものではなかった……。

 奇人変人や怪事件に巻き込まれながら、“ごく普通”の人間のつもりな人間がいちばんタチが悪いという話。この普通なハルミの前に、マッドサイエンティストなクラスメイト3人が“ただの危ない人”扱いになっているような気がしてなりません。

「エンジンはぶっ壊れるまでぶん回して初めて限界が分かる」

 司書団が投入されるも整理に手のつかぬまま壊滅した学級文庫とか、そそられますねえ……っていうか、ひとりも戻らなかった第6次司書隊って、ここは蓬莱学園旧図書館かいっ。
 巨大ではないけれど、危険な学園モノでした。

【ヒミツのテックガール】【ぺけ計画と転校生】【平城山工】【とりしも】【地下空洞】【昆虫食】【監視カメラ】【ひとり用トイレ】【ゲロえもん】【確率的多重世界概念】【学級文庫】【ロシアンマフィア】【鉄人定食】
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「Alice」 川崎康宏

2010-03-10 | その他SF(スコシフシギとかも)
「侮るなかれ和の心。日本にはアメリカの10倍の歴史がある。伝統の前にひれ伏せ」
 日本びいきのボー・ボーの言葉。カミカゼっ!、ハラキリっ!、一億玉砕っ!! 

 仕事といえばもっぱら迷い猫探しという下目黒不動尊前探偵事務所だけれど、所長のボー・ボーは、日本でも珍しいカナダの天然記念物でもあるグリズリー。そこにアルバイトとして務める狗頭蘭子は都立高校の2年生だが、かつては狂犬アリスと呼ばれ、今でも渋谷新宿あたりでは賞金首らしい。でも、恋にはとっても臆病で……。

 猫探しの依頼者はニセモノだった?とペリー・メイスンみたいな法廷ミステリーになるかと思いきや、アメリカ海兵隊あがりの遺伝子操作兵士やアンドロイドが乱入して死屍累々の大惨事に! いちばんの見所は、「ゲノムの暴走機関車」vs「現代人類に警鐘を鳴らす野生の雄叫び」の対決かな。とにかく、B級アクションバンザイ!の娯楽活劇。

【Alice】【アリス】【川崎康宏】【エナミカツミ】【メビウスチルドレン】【電子頭脳】【親善大使】【不老不死】【アンドロイド】
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「ありすとBOBO~猫とマグロと恋心」 川崎康宏

2010-03-09 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 なにも考えずに表紙イラストとあらすじだけで買い、あとであらためて作者は誰だったかなーと思ってみればスチームパンク・アクションの『蒸気帝国騒動記』の人で、ああ、読んだことのある人なんだ……と読み進め、「あれ? この話、どこかで読んだぞ」と本棚を検索して再発見。
 電撃文庫で『Alice』を書いてました。銃の所持が簡単に認められるようになった日本。女子高生が援交相手の男を撃ち殺しても厳重注意だけで済んでしまうような時代。カナダの天然記念物でもあるグリズリーのボー・ボーが所長を務める下目黒不動尊前探偵事務所のメンバーでもある狂犬アリスの物語……あれ?
 賀東招二の『コップクラフト』みたいに、出版社を替えるついでにタイトルもちょっと変えて……というのかと思ったら違ってました。同じキャラクター、同じ舞台だけれど、話は別のお話。1話2話と続けて読めばいいですね。(10.2/26)

 日本人はマグロがどれだけ好きなんだっ!?というお話でした。
 猫探しから始まる導入部から、サイボーグ兵士とボーボーの死闘を経由して、人は殺せるけど恋にはウブなアリスの学園生活の顛末と、前作と同じパターンをしっかり踏襲。前回より若干エッチ度高めでハードボイルド度やSF度は薄め。ボーボーの戦いは前回の米兵崩れより今回の中国兵崩れの方が(いろんな意味で)危険。
 この作品、このままシリーズ化してくれるといいなあ……。(10.3/9)

【ありすとBOBO】【猫とマグロと恋心】【川崎康宏】【千葉サドル】【猫】【ミニスカート】【密輸】【鉄火丼】
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「ほうかご百物語」 峰守ひろかず

2010-03-09 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「そうか、そういうことなら心強い。でだ、話を戻したいんだが」
 意外と大人物だった生徒会長の言葉。

 ディスカバリー・ラノベ!ということで、高校生オススメのライトノベルのシリーズ1作目をまとめて一山借りてきました。まあ、たいてい表紙の第一印象で手に取るかどうか決め、あらすじで買うかどうか決めるので、イラストが趣味と合わないと手にも取らないのはザラ。たまに見直すのも良い機会です。

 人数合わせに経島先輩の名前を借りたばかりに、弱小美術部はいつの間にか半ば怪異文化研究団に……。
 ところが幸か不幸か、妖怪に関する雑学を耳にしていたために、白塚真一は妖怪に血を吸われて死ぬところを免れるのだが……。

 怪異スポットとなった学校敷地を縦横無尽に走り回る美術部員たちの物語。いつの間にか、すっかり校内限定の妖怪ハンターですね。
 けっこう面白くて、一気に読んでしまった上に夢まで見てしまいました。これはこれで有りです。続きが読みたい。もう少し会話がテンポ良くてもいいかな。あの「バージョン違い」というセンスは好き。

【ほうかご百物語】【峰守ひろかず】【京極しん】【天逆毎】【産女】【育児放棄】【天狗】【牛鬼】【みこし入道】【がんばり入道】【バージョン違い】【野襖】【テン】【九尾の狐】
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「うまなみ三国志」 大澤良貴&荒木風羽

2010-03-08 | 時代・歴史・武侠小説
 文とコミックで史実の流れから豆知識まで三国志の基礎を語りまくった1冊。はっきり言って単行本化には向いていない。コミック・エッセイ部分の文字が小さく、ぎっしりと詰め込まれていて、しかもそれが面白いものだから、前半部分は見開き2頁を読み終えるだけでぐったり。蒸しタオルを目にあてて休憩すること30分で次のページに挑む……という難読書。
 内容的には総論から各論まで、正史と演義の違いまで含めて解説してくれているので、錆びついた知識を磨くには最適。ただし付け焼き刃に使うには、読むのに体力と集中力が必要。劉備や孔明など普通の本では好意的に取り上げられることの多いメジャーキャラには厳しめに、マイナーキャラまで言及しようという姿勢が嬉しいです。
 誰か、せめてもう一回り大判にしろと言えなかったのか……。

【うまなみ三国志】【大澤良貴】【荒木風羽】
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「諸葛孔明対卑弥呼」 町井登志夫

2010-03-07 | 時代・歴史・武侠小説
「しょせん人間同士のすることと言ったらこういうことです。子供を産みすぎて増えちゃったら殺すしかないじゃないですか」
 戦で人が死ぬことなど、なんでもないと巫女の言葉。

 大陸の覇を三国が競っている時代、既に大勢は曹操にあり、西南の劉備、南の孫権を以てしても、これを覆すのは困難かと思われた。しかし、劉備のもとには八門遁甲すなわち魔道を操る天才軍師・諸葛孔明がいた。
 ただ1人、孔明のみを怖れる曹操はたとえ蛮族の力を借りてでも彼を倒さんと東方海中の島国へと使者を使わした。
 千人巫女を従える邪馬台国の女王卑弥呼を招くために……。

 世界史年表で、この組み合わせをみつけた時点でなかば勝利したようなものだけれど、この孔明像はなかなか新鮮。キャラクターはなんとなくイシュトバーンを彷彿とさせるのだけれど、戦いはどちらかというとマーク・トゥエイン的なものでありました。

【諸葛孔明対卑弥呼】【町井登志夫】【末弥純】【鬼道】【匈奴】【三国志】
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「一天四海のマーガレット」 北沢大輔

2010-03-06 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 19世紀のロンドンで若き英国貴族エリオット・マクスウェルがつましく暮らしているのも、錬金術にとち狂った先祖が遺した莫大な借金のせい。しかも、ある日突然、彼の館が大爆発したことから、テロリストの濡れ衣さえ着せられてしまったエリオットが一発逆転するには、怪しげな男たちに指図されるまま80日で世界を一周するしかない。それも地下の爆発跡から発見された人造美少女と共に……。

 ヴェルヌの『80日間世界一周』を下敷きに……というより『80日間世界一周』だけをガイドブック代わりに押しつけられた少年の世界一周の、旅の行方やいかに!?
 そういや、昔、『サイエンスくんの世界旅行』という学習マンガがあったなあ。
 もう少し序盤のテンポが早いと読みやすいかと思いました。どちらかというと丁寧に順を追って説明しすぎかも(親切と言えば親切です)。あと、ヒロインにしろ、追っ手にしろ、もっとベタベタにパターンを踏襲する方が面白い気がします。あるいは『地球の歩き方』を模したような構成にしてしまうとか、素材が面白く、イラストが良いだけに、もう一工夫を要求してしまいます。

【一天四海のマーガレット】【80日間世界一周】【北沢大輔】【呉マサヒロ】【集英社スーパーダッシュ文庫】【錬金術】
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「A=宇宙少女2×魂の速度」 日野一二三

2010-03-05 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「正体不明は暴いてナンボ」
 オカルト研究会、藤宮小夏の言葉。

 遠矢孝文はもともと幽体離脱ができる体質だったけれど、それで月まで往こうなんて思いついたのは、失恋のショックで自暴自棄になったから。
 ところが辿り着いた月面にはなんと先客が居て……。

 若干、キャラクターが多すぎるかな。委員長と地上最強のメイドは要らない気がします。まるでギャルゲーではありませんか。主人公はあちこちにフラグを立てすぎ。その分、月の彼女への言及が少なくなって、物足りない感覚が残ります。
 話は面白いし、伏線の張り方と回収も巧い。でも、主人公とヒロインたちとの関係が中途半端に深いまま放置されてしまうので、なにか恋愛シミュレーション・ゲームの1周目を軽く流してみましたが、親友エンディングには入らずに済みました……という感じ。続きがあれば、それに期待。

【A=宇宙少女2×魂の速度】【日野一二三】【甘塩コメコ】【JAXA】【幽体離脱】【惚れ薬】【地上最強のメイド】【ボーイ・ミーツ・ガール】【超人ボバーン】
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「戦闘城塞マスラヲ(5)~川村ヒデオの帰還」 林トモアキ

2010-03-04 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「当人が死んだ方がマシだって思えたら世の中がどんなに平和だってそれは地獄なんだよ」
 ザジの言葉。

 『戦闘城塞マスラヲ』は4巻までしか読んでないと言ったら、長男が自分で買った最終巻を貸してくれ、さあ、読んだ?どう?どう?とすがるような目で感想を求めてきました……orz
 うん。面白かったよ。
 2巻、3巻の展開ではどうなることかと思ったら、ちゃんと全5巻で収拾を付けました。「戦闘城塞」の意味も明らかとなり、退場していた者も登場していなかった者も含めて、きちんと出番と見せ場を作って大団円に持ち込んでくれました。

 他人にあらぬ想像をさせてしまうくらい目つきが凶悪なだけで、頭の出来も体力も並以下という青年が、ふとしたことで知り合った人格を持ったコンピュータ・ウィルスをパートナーに、軍人・警察官から吸血鬼や魔族まで入り交じったバトルロイヤルに参加することになってしまい……

 ちゃんと主人公がどん底まで堕ちて、復活し、互いに認め合った仲間たちと強大な敵に挑み、ハッタリを真実に変えて勝利する話。そうやってまとめると、なんかビジョルドの『戦士志願』みたいですが、基本がドタバタ・バトルアクションなので、間違った方向に期待してはいけません。でも、全5巻を一気に読ませるパワーはありました。

【戦闘城塞マスラヲ】【川村ヒデオの帰還】【林トモアキ】【上田夢人】【宇宙刑事】【傭兵部隊】【グレイ】【ハニワ】【吸血鬼】【天使】
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「りてらりっ~深風高校文芸部」 鯨晴久

2010-03-03 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 小説家志望の藤枝沙織が入部しようとした文芸部は、部長が太宰治もシェークスピアも知らなかったけれど、現役女子高生作家が在籍していて……。

 女子高生たちがゆる~く、創作とはなんなのかとか考えたり、互いの趣味嗜好をカミングアウトしたりできなかったりしながら日々を描いた学園小説。

【りてらりっ】【深風高校文芸部】【鯨晴久】【剣康之】【猫喫茶】【ヲタ】【創作空間】【猫まっしぐら】
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