母が白内障の手術をしたため、その術後通院で送り迎えをした。家に戻ってしばらくの間両親と親子の会話をしたのである。別に他愛の無いことである。それまでは父にはなんら異常は無い。帰る段になって父は母を押しのけるようにして玄関まで私を見送りに出てきたのである。
恥ずかしかったのか「鉄、雨は降ってないか」と私に問う。「ん。少し降っとるようだね」と二人並んで空を見上げたのである。小さな雨が少しばかり落ちていた。
そのとき我々の後ろから母が「お父さん小さくなったね」と驚いたように言った。我々は聞いたと同時に母のほうを返り見た。まるでシンクロでもしているかのように仕草も同じであった。
確かに父は以前より小さくなった。「腰を曲げてるせいよ」と私は父の腰の辺りを軽く叩いた。父は母に向かって「メイファーツ」と言った。「おっ、中国語か」と頭のなかで判断した。私は父に「発音が悪いな」と言いながら「じゃあね」と言って別れたのであるが、帰路に着く車中で「ん、いつもとちがうな」と、ふと思ったのである。
恥ずかしかったのか「鉄、雨は降ってないか」と私に問う。「ん。少し降っとるようだね」と二人並んで空を見上げたのである。小さな雨が少しばかり落ちていた。
そのとき我々の後ろから母が「お父さん小さくなったね」と驚いたように言った。我々は聞いたと同時に母のほうを返り見た。まるでシンクロでもしているかのように仕草も同じであった。
確かに父は以前より小さくなった。「腰を曲げてるせいよ」と私は父の腰の辺りを軽く叩いた。父は母に向かって「メイファーツ」と言った。「おっ、中国語か」と頭のなかで判断した。私は父に「発音が悪いな」と言いながら「じゃあね」と言って別れたのであるが、帰路に着く車中で「ん、いつもとちがうな」と、ふと思ったのである。