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その彼らが駆け出した通りはゆるやかな弧を描いており、向うを見通すことができない。そして十字路はほとんどないと言っていい。道は鉤状であり、細い路地から本通りに出るときっと正面には建物がある。右か左か、一瞬逡巡しなければならないのにはおそれいる。これだけではない。路面をみると路肩が鋸の歯状になっている。家の壁で人一人が隠れられるようにしてあり、万が一外から攻め込まれた時の為、そこに身を隠して一撃する。不意打ちを食らわすのである。商家の街並みも通りも防衛上重要な戦術上の手段とされたわけだ。これはお上から与えられた計画道路であったし、都市計画でもあった。それが現在まで存続したのは歴史上の産物として現代人が残してくれたものである。本来ならば真直ぐな側溝へと造りかえるのだろうがそうではなかった。[続く](写真:楠町の街並み)
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