many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

失投

2010-10-07 19:29:55 | 好きな本
ロバート・B・パーカー/菊池光=訳 昭和60年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
はい、こないだホームズをとりあげたんだけど、私立探偵ものつながりで。
最初のころは、探偵といえばホームズ派だったんですが、やがてスペンサー流に魅せられていった私。
パーカーのスペンサーシリーズで最初に読んだのがこれだと思う。
スペンサーが登場するシリーズのなかでは第3作にあたるんだけど、文庫で出たのはこれがいちばん早かったってことで。
私立探偵もので、しかも野球モノ、当時私の好きなふたつの分野が合わさってんだから、手に取るのに躊躇しなかったんぢゃないかと思う。
なかみは、ろくにハードボイルドを読んだことのなかった私にも、十分おもしろかった。
探偵って言っても、謎を推理するとかってんぢゃんくて、ふだんは軽口ばっかたたいてる。
いろんな固有名詞が出てくるタイプの小説っていうのは、それまで読んだことなかったんで、妙なリアリティーって手法には初めて触れたと思う。ボストンの街並みを描写してるとこだって、きっとホントにある店の名前なんだろうなって気がする。
あと、「スペンサーの法則の一つ」として、「考えが決まらない時は何かを料理して食べろ。」っていうのが出てくるように、自分で料理したりするスタイルは、けっこうカッコよくて、私に与えた影響は大だと思う
物語は、ボストン・レッドソックスのエースが八百長に加担してるんぢゃないかという疑惑に関して、球団から依頼されて調査するんだが、調査結果をそのまま報告するんぢゃなくて、そのエース夫妻をトラブルから救い出そうとするスペンサーの戦い。
依頼人のリクエストに単にこたえるとか、事件を解決=犯人をみつけるとかってだけぢゃなくて、自分がどう行動すべきか・生きるべきかってほうに主眼があるってのは、最初に読んだこの話からいきなり印象づけられて、その後もスペンサーシリーズにずっと魅かれているものですね。
まーた、そういうことを、恋人とディスカッションするんだな、これが。本作みたいに最初のうちはエンディングテーマのように簡潔だったけど、後になるにつれ、そのへんがどんどん深刻化していったような気がする。
うーん、ちょっと、久しぶりに順番にシリーズを読み返してみようと思ってる。
コメント
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