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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

東京ガールズブラボー

2010-10-20 22:01:58 | 岡崎京子
岡崎京子 1993年 JICC出版局 上・下巻
これは、好きです。岡崎京子の長編。
連載は月刊CUTIE 90年12月号から92年12月号の、全25回なんだけど、舞台は“胸キュンのアーリー80'S”。
ストーリーはあってないようなもんで、北海道から、親の離婚を機に、あこがれの東京に出てきた、主人公の女子高生が、波乱万丈の毎日を繰り広げるんだけど。
当然いきなり舞い上がった勢いで、停学くらったり、無断外泊朝帰りして外出禁止くらったり、突っ走りたい欲望はスパークしてる一方、思うようにならなくてモンモンとしてたりします。

語るの難しいから、帯から引いてみますか、
上巻が、
>YMO、ツバキ・ハウス、ピテカントロプス。ニューウェイブが輝いていた80年代初めのTOKYO。
>北海道からやってきた女子高生・金田サカエが繰りひろげる、ちょっぴりアナーキーで切ないオシャレな青春ストーリー!!
下巻が、
>いよいよ完結編を迎え、80年代初頭のトウキョーを疾走するお調子者高校生・金田サカエの運命や、いかに!?
>やたら明るい90年代の今、自意識過剰のニュー・ウェイブ・エイティーズが、なぜか不思議と新しい。
…なんのこっちゃ、わかりませんが、まあ、そんな感じです。(ちなみに、下巻の「今~が、新しい」は、コピーライターとして、絶対やってはいけないことだと、昔なにかの本で読んだ記憶があります。糸井だったか?)

80年代には、ふつうにガッコ行ってベンキョしてただけの私なんで、いまひとつ分からない時代の空気とか、固有名詞を含む単語がありますが。
とにかくハイテンションで突き抜けるような勢いのあるマンガなんで、私なんかは、体調悪いときはついてけなくて、読むのがしんどかったりします。

長編とはいっても、岡崎京子によくある、短い1話(最初は12ページ、後半は14ページかな)ずつの連なり。
そのチャプターを挙げてってみても、雰囲気わかるかもしれませんが。
1 サカエちゃんがテクノポリスTOKIOにやってきたよ
2 「ビブラストーン」じゃなくて「ビブラトーン」だったあの頃
3 それにしても日曜日の6時半のサザエさんはいつまで続くのだろう?
4 原宿プラザでスシ・イヤリングをした3人の女の子とすれちがった
5 ロンドンナイトに行く時はDEPのスーパーハードジェルで髪の毛を立たせよう
6 ツバキには文化服装学園のコがゴハンを食べにタダで来てたよ
7 「恋の山手線」という曲を歌ったのはだれ?「恋のメキシカン・ロック」を歌ったのは?
8 東京タワーが灯るしゅんかんに願い事をかけるとかなう気がする
9 PARTY
10 サカエちゃん、自己を守るために詭弁を弄する
11 恋のライバル・丸玉さんはパラノイアックでパセティック
12 胸のトキメキはリズム・ボックスのリズム
13 恋はまるで小さな嵐、でも気のせいでした
14 「ヴァルネラビリティ」とは何のこと?
15 夜の学校に行く/そのためにたけしのオールナイトニッポンを聞きのがす
16 でも、一番可愛そうなのは文化屋の赤いくつ下をはいていたのび太くん
17 サカエちゃん、ちょっとだけメディアの女王の夢を見る
18 サカエちゃん、デビューして有名になって「徹子の部屋」に出る(はずが)
19 トレーシー・ソーンのいた「マリン・ガールズ」はチェリー・レッド・レーベルでした。
20 のび太君、とりかえしのつかない事を言う(N.Wの男の子は情ない)
21 池袋の「ビッグ・アップル」でダンス・ダンス・ダンス
22 100万円は一万円が100枚(目ざせ!印税生活!!)
23 ビボーは女の宝、または丸玉さん身体改造する
24 マクドナルドは時給450円ノーパンギャルなら時給2500円
25 終りの始まりの時代の終りまたは、さよなら東京
…やっぱ、よくわからんな。

ちなみに登場人物の「金田サカエ」、「オシャレバカ女」とか自称してますが、岡崎マンガのほかの作品にも出てきます。(友達の「ミヤちゃん」「なっちゃん」も。『くちびるから散弾銃』参照。)
これは、べつに同一人物ぢゃなくて(ないだろうな?)、要は、ビンボーしてもオシャレに散財せずにいられなかったり、自分のことしか考えてなくてワガママ言って周りを振りまわしてたり、しょーらいのユメは外人になることとかバカ言ったり、っていうバカ女キャラの記号が「サカエ」なんだと思います。落語で八五郎とか与太郎ってのが、毎度どの噺にも出てくるけど、それは同一人物ぢゃなくて、ひとつのわかりやすいキャラ設定ってのと一緒で。

で、ヲカザキの本の「あとがき」は、いつも面白いんですが、この下巻の巻末は、なんと浅田彰との電話対談です。油断ならない奥の深さがあるなー。

どーでもいーんだけど、ひさしぶりに読み返してたら、「キグーだね」とか「ゲンソーがある」とか「カンドーとコーフン」とか、私自身もときどき書いちゃう単語のつづり(私は現代における言文一致体だと思ってるが)は、このへんの影響かな、と思った。(基本は江口寿史なんだけどね。)
コメント
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