many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

すべてがFになる

2010-10-22 20:51:40 | 読んだ本
森博嗣 1998年講談社文庫版
副題というか英題は「THE PERFECT INSIDER」
きのうからのつながりは、京極夏彦の登場で「メフィスト賞」がつくられたという逸話を知り、その第1回の受賞がこの作者・この作品だというので、読んでみた。
作者は工学博士、いわゆる理系のひとだそうで、作中にも何だか分かんないけど研究してる人たちとかプログラマとかが出てくる。
ミステリィなんで、どこがどう面白いとか筋を書くことはしないけど、15年間幽閉されている稀代の天才とかってキャラクターの設定が有無を言わせなくて、魅力的だったりする。
なんで、このタイトルかってのも、もちろん謎のひとつなんで軽々しく解説できないんだが。
これを読んでみようと思った、もうひとつの理由が、先崎学のエッセイ集で、先ちゃんと対談してる作家だというのもあって、ずっと気にかかってたってのもある。
そのなかで、森氏は、
>小説は先を全然考えずに書いています。
>アイディアノートもないし、だれが犯人かも、十ページ先がどうなるかもわからなくていつも書いています。
>書きはじめるときにはゼロです。だから、まずタイトルを書きますね。それから適当に人物表を書くんです。
>三割ぐらいまでいったときに、あ、こういう事件が起きるんだなとか思うし、五割くらいまでいくと、もしかしたらこの人が犯人じゃないかなって思うわけです(笑)。
>探偵が「わかった!」とかって言うわけですね。そうすると、え、なんでわかったんだろうって、もうわかったのかってびっくりするわけ(笑)。

なんて言って、そこから、なんでここでわかったか考えて、前に戻って直して、そこでわかるように決めていって、自分が驚ける人が犯人になれるように直しちゃう、という創作法を語っている。
本作についても
>『すべてがFになる』というタイトルが最初にあったから。だから、Fについて何とかしなきゃいけないということだったんですね。
>まず『すべてがFになる』というタイトルを決めて、Fの中身というのはあとで決めたわけです。
>そうじゃないと、Fの理由を先に思いついたら『すべてがFになる』というタイトルになりませんよ、発想として。

だなぁんて言っちゃってる。
タイトルとか、書き出しの一文というのは、大事だと思うけど、ここまでいくとすごい。

文庫版の解説によると、シリーズ10作あって、せめて最初の5作を読むと、計算された展開がわかるっていうんで、どうしよう読もうかどうか?って今考えてる。
コメント
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