many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

箱男

2014-04-09 22:08:58 | 読んだ本
安部公房 昭和57年 新潮文庫版
またも安部公房。
これは昭和48年作品らしいけど、文庫の初版をもっている。
なんか、初めて読んだときの印象が、とても強く残ってる。私にとっては、らしいっていえば、安部公房らしいと思える小説。
主人公は、頭からダンボールをすっぽりとかぶってる、だから「箱男」
いまで言ったらホームレス、当時のボキャブラリーだったら浮浪者。
でも、箱をかぶってるってことが、自分の顔を隠すことだけだって理由ならまだしも、顔のへんに覗き窓を切り抜いて開けて、そこに艶消しビニール幕を取り付けて、真ん中に縦にスリット入れたうえで、箱を前傾させて、自身の顔は見せないけど、そこから相手を覗くように見る、ってなると、ちょっと尋常ではない雰囲気。
箱男のかぶったダンボールの内側に書かれたメモって体裁の小説なんだけど、途中で箱のなかに入ってる人物が入れ替わるかのような展開になって、語ってるのは誰か、見ているのは誰か・見られているの誰かとか、そのへんがアタマんなかをグルングルンさせられる。
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サボテン

2014-04-08 20:29:35 | Weblog
きょう、某ホームセンターに寄った際に、見かけて、気になっちゃって気になっちゃって、サボテンを、衝動買いした。

まあ、もともと、私のような人間には、緑とか、うるおいとかって、無縁ではあるんだけれど。
なんにもないのも殺風景だよな、って思ってたとこに、今回おあつらえむきっぽいものを見っけたんで、手を伸ばしてみた。
なにか植物の面倒をみたりとかって、そんな生活パターン(留守にしがち)や、性格(コンスタントに水をやるとか苦手)ぢゃないんだけど。
サボテンだったら、以前そこそこうまく付き合えてたような気もするし、なんとかなんぢゃねーのって気になった。
前にサボテンを持ってたのは、1997年に、ひとにもらったのに始まる。
私がずぼらなこと知ってるうえで、「夏は週に一回、冬は月に一回、水をやれば大丈夫だから」って言われて、もらったそのサボテンは、妙にトゲの伸びとかよくて、翌年には花まで咲いたんで、なに、水があうんだ? ってことはウチは沙漠かよ?とか思いつつも、かわいがった。
でも、2003年に引っ越した先が、なぜか湿気の多い部屋で、ふつうに室内に置いといただけなんだけど、とうとうヘナヘナになって、枯れるというよりも、腐って死んでしまった。
今回、わたしが選んだのは、そのときのやつに、比較的ルックスが似てるやつ。
鉢に刺さってる名札をみると、春衣って品種らしい。
育て方の知識はないけど、まあ、おんなじようなもんだろ、夏は月に一回、冬は週に一回くらいで、いいよね、いいだろ?
どこまでうまく世話できるか、まったく自信はないけれど、まあ先代と同じくらいまではすくすくと育ってほしい。
あ、そうそう、名前は、二代目ということもあり、当然「ゴビ君II世」である。
(この出典は、知ってるひとは知っている、岡崎京子の「ボーイフレンドisベター」収録の『名前と言葉』による。)
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そんなに簡単にはできない

2014-04-07 19:16:04 | 馬が好き
乗馬に行く。
きょうの馬は、ギルデッドエージ。

この馬に乗るとなったら、なんとかして馬場馬術っぽいことをしてみたいところ。
でも、できるかなあ? 手ごわいからなー。
そんなこと考えながら、馬装して馬場へ入ったら、まだ始まるまで時間がありそうなので、ウォーミングアップする。
輪乗りの常歩で、動かす。ハミうけの練習とかなんとかする前に、動かさなければならない。
輪乗りでまっすぐ前へ、速歩になっちゃいそうな勢いで常歩するんだ。
だいぶ勢いはでてきたんだけど、そこで拳つかったり、開き手綱でハミうけを求めようとしたりすると、あらら、勢いがなくなっちゃう。
ときどき手前を替えて、繰り返すけど、あまりうまくいかない。
うまくいかないけど、こんどは軽速歩で輪乗り。なんか、付き合いで回ってはくれてるけど、ぜんぜん動いてる感がない。

んぢゃ、部班。3頭立ての先頭にさせられちゃう、知らないよ、こっちは前に進めるだけでも精いっぱい、ペースが乱高下しても。
「まずは、とにかく前へ動かして」とは、あたりまえのことのようなんだけど、特に私に課せられたテーマである。あれこれいじるのはあと、まずは動いてなきゃ話にならん。
「拳をつかったときに(前進する勢いが)切れてしまうかもしれないので、そこに気をつけて、もっと動かして」ということで、とにかく前へ。
でも、なんか前出せないんだよなー。ほかの馬でやるような、ハミにぶつけてくように、ってイメージが、全然できない。
「隅角で馬が内に倒れないように。必要があれば内から押すように」ということで、勝手に経済コースを通ろうとするギルデッドエージを、角まで押し込もうと悪戦苦闘する。外側の手綱へのぶつかってくるような手応えがない。自分の肩とか肘がいっしょに内に回っちゃダメだ、と外の壁を意識しているんだが。
少しずつハミうけを意識していこうとするんだが、うまくない。ほかの馬なら、直線上で馬の顔だけをちょっと内向けるとかのイジりかたができるんだけど、それやると止まっちゃいそう。
基本的に、たとえば他のサラブレッドたちだと、一旦やる気が出るというか、ある程度の勢いがついて周回しはじめると、ちっとやそっと拳で抵抗しても、引っ張り返すようなとこあって、そうしてるうちに、どっかでゴメンナサイって妥協してくれるとこあるんだけど、私はこの馬でそれが感じられない。
ちょっと何かすると、それが手綱引っ張るとかぢゃなくて、回転に入ろうかっていう開き方であっても、ぢゃあ前に出るのなんかヤメちゃうもんねー、って感じの動きになっちゃうんである。
ホントにまっすぐ前に出せてないってのがひとつと、どっかで譲ってくれてんだろうけど、それを私が感じ取れないままヘンに強い要求を続けるから、こっち譲ってんのにそっち譲ってくんないなら動かないぞ、って馬もおもしろくなく思ってるってのがひとつと思われる。
はっきり言って、わかりにくいんである、私にとって、この馬。

さて、こんどは、歩度を詰めたり伸ばしたりする。伸ばすときは軽速歩、詰めたときは正反撞。
しかし、伸びないねー。ぜんぜんギアチェンジしない。いつも思うんだけど、この馬はすごいエンジンもってるはずなのに、私はローとセカンドまでしか入れないで走らせてるようなもんだ。
んぢゃ、輪乗りで駈歩。って、出ないし。先頭で駈歩出ないと、部班って困ります。
詰めてる感がないし、一歩目から出せる自信はなかったんだが、半周も出ないと困っちゃうよね。あせってもしかたないので、座って、脚つかって、最後ムチ使って、なんとなく出す。
「速歩のときに、脚に反応させてないから、そーゆーことになる」ってんで、もう一回やりなおし。
いやー、たしかに反応してくれてなかったんだけど。駈歩にしようと思ったら、なんかギュッとムリくり詰めるとか、馬の顔ゴーインに内向けるとか、インチキっぽい技のレパートリーもあるんだけど、この馬の場合、それやると止まっちゃうし。
やり直しの駈歩は、さっきよりは早く出るが、一歩目から飛び立つような感じとはかけ離れてる、ダラダラ感。しかも、ナンチャッテ駈歩だよ、これ。
「もっと動かす、まず、もっと前へ」ということで、脚つかう。ようやく後肢が動き出す。ちなみに、ナンチャッテ駈歩というのは、前肢が駈歩のカッコしてるけど、後肢は速歩と変わりないような感じで、テレンコついてくる動きをいう。
カラダゆするな、動かしたいときほどジッと座れ、とにかく脚、舌鼓ぢゃなく脚。でも動かないから、最後はムチを振り上げる。
駈歩で輪乗りから出て、蹄跡行進。歩度を伸ばせって、また伸びないよ、これ。脚、脚、手を引っ張らなーい、って自分に言い聞かせながら行くけど、ちっともスピード感変わらないし、踏み込んできたときの躍動感なんもなし。
手綱引っ張ってるかなあと思い、ラクにして馬のクビを動くままにしてみるけど、なんかストライド伸びずに、全身が間延びしてくだけだ。隅角ぢゃあ、どんどん内回り始めるし。
なんか、よくわかんないまま、終了。

もうすこし各個でやっててもいいというので、しばし休憩のあと、速歩で輪乗り。
まあまあ素直に周回はしてくれるけど、動いてる感はないなあ。手綱を開いたりしてるうちに、カッコだけアタマは下がるけど、ちっとも力強さとか感じないし、ハミうけってのには程遠い。
抵抗されるわけぢゃないけど、だからって、動かせたかというと、そんなことないまま、おしまい。
「でも、前より姿勢がよくなりましたよ。アブミが踏めるようになりました。」と講評をいただけたので、よかった。
まだ膝と爪先が外向くこと多いし、脚つかうときカカトが上がるけど、ちっとずつは脚の位置が安定しはじめている。
ギルデッドエージに乗ると、ちょっと何かしようとしただけで、すぐコンタクトが外れちゃうことについては、「とにかく動かすこと」に尽きるんだそうである。うーん、でも、できないなあ、これ以上は、横木でも使ってみないことには、私には打開策がない。
一度だけ、すごい勢いで踏み込んでるのをハミうけできた経験があって、あれをなんとか目指したいんですと言うと、「そんな簡単にできたら困っちゃうんですけど(笑)」ということなので、やっぱり容易なことぢゃないんだなってわかる。
たとえ数十秒でも、自力であれができたら、ことしは試合に出てもいいかなあって思ってたんだけど、やはりまだまだまだ実力不足であるようだ。

手入れしたあと、いつものようにリンゴを取り出すと、目の色が変わってくるギルデッドエージ。
どーして乗ってるあいだに、そういうキラキラお目々をしてくれないかなあ?
! そうか、こんどは、乗るときに、鼻先にリンゴをぶら下げて、乗ってみよう。きっといい勢いで前に出るぞぉ!?
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ロココ町

2014-04-03 20:24:49 | 読んだ本
島田雅彦 1990年 集英社
ひさしぶりに読み返した小説。
行方不明になってしまった、かつては大学で同じサークルの社交仲間だったB君を、探そうとしている予備校教師が主人公というか語り部。
東京近郊にあるらしい、ロココ町を訪ねるんだが、そこへ行く正確な道は誰も知らない。
ようやく町へと通じる地下道をみつけて進むと、地下道の終点である町への入り口は、長い滑り台になってたりする。
調べてくうちに、ロココ町は、B君のアイデアによってつくられた「超遊園地都市」だと判明する。
まあ、もとは遊園地のあった場所だってのはわかるんだけど、超遊園地都市って概念は、簡単そうで難しい。
住民たちは、あまりそのへん考えずに、楽しく生きてるみたいだけど。
>二十一世紀の年はあらゆるものを吸収し、ただひたすら増殖しゆくのみである。一つの理念で統一されるようなものではない。超遊園地都市は常に予測を裏切るように増殖してゆく。われわれは都市を自然成長性を持った一つの生命体として考えなければならない。
ってことらしいが、なんか、あのころあった「ツリーぢゃなくて、リゾームへ」って感じの考え方が、ふと思い浮かんだ。
ネットのない時代に、近未来社会のこと想像・創造する最先端が、このへんだったかなあという気がする。
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砂の女

2014-04-02 21:30:12 | 読んだ本
安部公房 昭和56年 新潮文庫版
最近、ブログのため(だけ)に(それもいかがかと思いつつ)読み返してるような気がする、安部公房。
この小説は有名、私の持ってるのは昭和58年の11刷だけど、発表は昭和37年で、巻末の解説によると、その2年後の英訳から始まって、二十数か国語の翻訳が出たそうな。チェコ語、フィンランド語、デンマーク語とかってあたりが渋いよね。
ひょんなことから、ほっぽっとくと砂に埋もれちゃう家に、とらわれてしまった男の語る話。
男が学校の教師だったとか、そもそもこの場所に来たのは昆虫採集のためだったとか、細かいことは、読み返すまで、忘れてたけど。
ストーリーはいいとして、
>起上ると、手足が、水枕のようにだらりと重かった
とか
>胃が、ゴム手袋のように、冷たくひえていた
なんて表現は、私の好きなところではある。
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