かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

戦略の本質

2006年11月06日 | Books
「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」は、成功体験(日露戦争)に頼って、だらだらと戦線拡大(中国侵攻→第二次世界大戦)し、失敗に必然的に至った経緯を分析した本だったと思う。日本の戦争についての本だったので、興味も倍加した。愛読書の一つになっている。

この「戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ」は、逆に、逆転のケースを分析した本で、失敗の本質と同じ著者の皆さんによる姉妹本だ。

ヨーロッパの戦争の部分は、基礎知識がなく、いまいちピンとこないが、朝鮮戦争、毛沢東の戦争、ベトナム戦争などは、ひじょうに興味深く読めた。
各ケースを分析の上、10の命題にまとめている。

最後の締めくくりを紹介すると
「戦略の本質は、存在を賭けた「義」の実現に向けて、コンテクストに応じた知的パフォーマンスを演ずる、自律分散的な賢慮型リーダーシップの体系を創造することである。」となっている。大学の入試にでも出てきそうな、難解なフレーズだ。

ちなみに10の命題も載せておこう。
命題1、戦略は、「弁証法」である。
命題2、戦略は真の「目的」の明確化である。
命題3、戦略は時間・空間・パワーの「場」の創造である。
命題4、戦略は、「人」である。
命題5、戦略は、「信頼」である。
命題6、戦略は、「言葉=レトリック」である。
命題7、戦略は、「本質洞察」である。
命題8、戦略は、「社会的に」創造される。
命題9、戦略は、「義=ジャスティス」である。
命題10、戦略は、「賢慮」である。

やや、頑張って10の命題にした感もないではないが、毛沢東の戦争のケースなど、命題6がぴったりだし、ベトナム戦争や、朝鮮戦争のケースなど、命題2にぴったりだ。
毛沢東の戦略は、ベストセラーになった”MAO”では、毛沢東は、何もせず、闇雲に疲弊しながら、逃げ回っただけだとこき下ろされているが、この本では、すごい戦略に基づいき長征し、大逆転したヒーローということになる。

読み物としては、ひじょうに面白いが、ハウトゥ物としては、ちょっとスケールが大きすぎるかもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする