某大臣が、領収書の問題で、また話題になっている。どんな人物かは知らないが(報道で見る限り政治家には向かないように見える)、一般企業だったら、もちろん首。首に出来ない社長も、世間からの糾弾を浴びる。首にしても、その社員のプライベートな素行までは社長は事前に調べきれないから、この程度で、社長の任命責任はない。どうだろうか。もう明後日になった。
世界史を復習すべく、講談社の興亡の世界史というシリーズを読もうと意を決して、買ってはいるのだが、まだ、積読(つんどく)。やっと、一冊読んだ。
ヨーロッパの歴史など、高校時代以来だから、とっつきにくいが、ひじょうに面白い。受験時代に勉強した世界史とは、ちょっと違う味わいがある。
最初に読んだのは、大英帝国の話。感じたのは、やはりイギリスは、国として大先輩だということ。近代国家としての、成熟度が違う。アメリカに独立されてから、アフリカ、アジアを植民地化し、君臨した。もちろん、今から見れば、ひどい話なのだが、その負の歴史を直視できる大人の国だ。
日本は、急に近代国家になったが、その辺の詰め込み教育の後、第二次世界大戦の大敗北で破綻したから、その後の対応方法がわからず、結局60年以上経っても、非難され続けている(ように思う)。
この本で見つけた、こぼれ話をを少々。
☆ アメリカの独立は、アジア・アフリカの現地人による独立と違い、アメリカ植民地人による、イギリス(祖国)からの独立だった。ちょっと違っていれば、アメリカは、イギリスの一部であり続けた。アメリカ植民地人の考え方の変化が根っこにあり、当時のフランスの動きによりはずみがついて、独立することになったということらしい。
☆ 奴隷貿易は、イギリスの歴史における大きな汚点だが、ターナーの絵(ボストン美術館にあるというから、私も見たのかもしれない)にも、荒れ狂う海の中で、奴隷を投棄する様子が描かれている。そして、だんだん奴隷売買に対する考え方の変化が起こってきた。イギリスは、奴隷貿易の国から、博愛主義の帝国、自由主義の帝国、苦境に陥った現地人を救済する帝国に変貌していったのである。シンガポールで、感じたイギリス人像は、後者であった。誤った過去の制度に対する謝罪の方法についての議論も、堂々と行われている。
☆ ジョージマーチンのスタジオがあることで有名な、カリブのモントセラト島は、奴隷を労働源とした農園の島だった。
☆ イギリスは、紅茶で有名だが、元々は、他のヨーロッパと同じく、コーヒーも人気があった。ただ、コーヒーは男の飲み物というイメージがあり、女性から反対運動が起こった。高価だった紅茶を、インド、スリランカでシーズナブル価格で生産できるようになり、紅茶が優勢になるに至った。
☆ 大英博物館は、まさに博物館の走り。当時、ミステリアスなエジプトミイラが人気を博したこともあり、様々な逸話が残されている。トーマス・クックは、エジプト旅行を大衆化し、近代観光の父と呼ばれた。
☆ フーリガンという言葉の発祥もイギリスだが、その語源については、定説がない。アイルランドのゲール語が起源らしい。ただ、この話も、フーリガンなどという野蛮なものは、イギリス本家のものではないという意識が作用している可能性がある。
ということで、近代世界は、やはりイギリスを中心としたヨーロッパ起源であることを再認識させられた。単なる歴史書ではなく、いろんな観点から、素人にも興味深く読めるよう工夫されていると思った。
イギリスが残した最大の負の遺産は、現在の中東の混迷であるということも、再認識した。イギリスのイラク戦争へののめりこみようも、この負の遺産への償いの気持ちと無縁ではあるまいと感じた次第。