かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

元中国特命全権大使のお話

2013年02月15日 | Topics

flag10元中国特命全権大使のNさんの話を聞く機会があった。

大使時代、尖閣問題が表面化し、散々で、マスコミにも叩かれっ放しだったが、帰国後、雑誌等にも寄稿され、積極的に情報発信をされている。
お聞きすると、当時マスコミを通じて我々が得た情報とは、かなり違う姿が見えてくる。では、全権大使時代にこのような発言ができたかというと、それも否だ。
その辺を全て踏まえた報道がたぶん必要だったのかもしれないが、大衆迎合型の近時のマスコミでは、無理だろう。

話の内容は、某雑誌に掲載されていたものと似ているが、短時間に、ポイントを突いたプレゼンは、相当同内容の講演をされていると察せられた。講演内容抜粋をちょっと。

まず、日中関係を考える時、その時々の時代背景を考えることが重要だ。中国共産党が政権をとって、しばらくした1950年代半ばに、中ソ関係が悪化、中印間にも国境紛争が起こり、隣の日本は、高度成長時代の真っただ中。そこで、石橋湛山が、日中国交正常化の土台を作り、田中角栄と周恩来が、1972年に日中共同声明を発表。
そして、今。日本と、中国の経済状況。アメリカ、ロシア、インド、フィリピン等と、中国との関係。全く、世の中が変わってしまっている。

日中共同声明の時、棚上げ論があったかなかったかが争点になっている。日本側に公式記録はないが、当時の側近には、そのような発言があったという者もいる。
中国側は、棚上げ論があったという。証拠もあるという。しかし、出さない。出したとしても、でっちあげと言われるのが落ちだと、わかっているから。
だから、真相は永久に煙の中。

その中で、尖閣国有化の話が出た。正確には、国が取得すると言ったのだが、国有化と変わらない。そして、中国は、それは、棚上げの約束に反するとして、猛反発した。ただ、中国はその前に、領海隣接区域法を作り、自らその棚上げ論を破っているとも言える。
歴史を振り返れば、穴ぼこだらけの議論になり、結論が出る訳がない。
意地の張り合いになり、誰も得をしない。

そこで、ここからが、問題の部分だが、尖閣について争っていることを認めても、損はないというのがN元特命全権大使の結論だ。そして、ここが、政府の公式見解と異なり、当時は、N氏もストレートには言えなかったところだ。
争いがあることを認めたとして、それを解決する方法は、司法?話し合い?武力?
どの手段をとったとしても、解決するはずがない。戦争は絶対したくないというのは、双方の本音だろう。だから、認めても損はないのだというお考え。

結論は、戦争につながりかねないような行動は、双方、絶対慎むべき。解決するはずのない議論を続けつつ、仲良くするというのが賢いやり方であるというもの。

春に、韓国で、日中韓の会談が行われる予定で、その時に、表面では議論するが(双方の国民向け)、裏では手を握るということができない場合、事態が悪化するリスクがある。
日中韓の会談が最後の仲直りのチャンスと力説された。

この議論、今後どう展開するか。他人事ではない。

コメント
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