かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

「敦煌」と日本人

2021年03月26日 | China・Mongolia

今日はいい天気。
今週末は、予報いまいちだが。



本書は、本屋で見つけた。
目次を見て、即ゲット。
私のためにあるような本だ。

学生時代、NHKのシルクロードで感動し、映画「敦煌」でさらにロマンが膨らみ、平山郁夫シルクロード美術館で、平山画伯とお話しする機会を得、自らも単独(ガイド付き)旅行。
かなり、はまっている方だ。

本書は、日本人のシルクロード感を、様々な現象を軸に、追っていく本。

大谷探検隊から、NHKのシルクロードまでは空白と思っていたら、中国での模写作業の成果を、1958年に日本で披露する展覧会があり、大盛況を収めたのだそうだ。
全然知らなかったが、その時の図録が中古で売っていたので、早速申し込んだ。
この展覧会で、敦煌へのあこがれを強めた多くの有名人を含む日本人は、多かった。
中国国内でも、文革もあり、調査の制限がきつかった時期で、調査は、あまり進展していなかった。

当時の中国は鎖国状態。
国交正常化後も、制限は強く、なかなか日本人が敦煌の取材をすることは難しかったが、”君よ憤怒の川を渉れ”が中国で大ヒット。
ぐっと日中間の距離が縮まったという。
この映画も見たことがなかったので、調べたら、BDが出たばかりだったので、こちらも注文。
出てる俳優は素晴らしいが、内容は、評価分かれる作品のようだ。
近時リメイクされ、再び脚光を浴びた。

そして、NHKのシルクロード。
世界的にも画期的な番組だったが、その撮影の苦労もたいへんなものだった。
そういえば、シンガポールで英語バージョンのDVDをゲットし、見ていたが、帰国後、日本語版を買いなおした。
NHKのシルクロード関連のDVD、本、写真集は、所持しているつもりだったが、海のシルクロードという番組もあることを再放送で知った。
DVDは出ていないようなので、とりあえず、ガイド本だけ集めたが、再放送を見る限り、こちらの取材も貴重な内容なので、DVDで是非出して欲しい(余談)。

そして、敦煌の映画。
監督は紆余曲折はあったが、君よ憤怒の河を渉れの監督が、メガホンをとることになった。
この映画もとんでもないスケールで、そのセットは、観光用として、残されたほどだ。
確かに、CGのない時代、どれだけの人・物・金をつぎ込んだろうと思って見ていた。
日本側の強い思い入れが本大作につながった。
同時期のラストエンペラーの方は、欧米でも大ヒットとなったが、これは、やはり敦煌が日本制作だったことがあったのかもしれない(ラストエンペラーは、シカゴ駐在時代、レンタルビデオで見れた)。
どちらも、素晴らしい映画だと思う。

同時期に、ならシルクロード博覧会が開催されたのだそうだが、全然知らなかった。
当時、アメリカにいて、情報ゼロ。
バブル時代で、とんでもない経費をかけた博覧会で、活況だったそうだが、最終、赤字だったという。
こちらもガイドブックが古本で出ていたので、早速注文。

そして、平山画伯とシルクロードとのかかわり。
こちらの方は、ずいぶん勉強したので、大体知っているつもりだったのだが、大平さんや、竹下さんとのつながりと、それが、日中国交に大きな影響を与えたところまではあまり知らなかったので、勉強になった。
平山画伯の絵に人気があるのは、絵がロマンを掻き立てることもさることながら、氏の文化的貢献に共鳴してという向きも多いのではないかと思う。

その辺までは盛り上がるのだが、中国が力をつけた後、残念ながら、日中関係は悪化している。
中国の政治体制に起因する点が多いと思うのだが、中国側なりの言い分もあるのだろう。
ただ、ウィグル弾圧については、シルクロードのを語る上で、避けられない問題で、本書も最後に大きく取り上げている。
チベットにしても、ウィグルにしても、従来より、中国内で統治することに無理があったことは、思うのだが、中国が認めるわけもなく。
外モンゴルみたいにできればなどと思っても、今更言っても。
私が、ウィグルに行った時は、チベットほどの、圧政感は、まだなかったのだが、確かに華人が大きく入植している印象はあった。

中・高で、中国の歴史を学んだ際、チベット、ウィグルは出てこなかったし、NHKのシルクロードを見て一番驚いたのは、ウィグル族のイスラム教の祈りの風景だった。
ただ、現在中国の一部であり、そこに軋轢が起こるのは、自明。
それをどう統治していくかというところで、中国流が出てしまう。
かつては、イデオロギーの違いで説明されたが、今や、政治体制の違いとしかいいようがない。
ただ、本書では、問題提起ぐらいにしてもよかったのかなという気もする。
シルクロードを共通項に、新たな関係を再構築できるかもしれないから。
楽観的に過ぎるかもしれないが。

シルクロードファンには、是非、一読して欲しい良書。

コメント
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