本書は、本屋で見つけた。
出たばかり。
九州にあったであろう権力を中心に(切り口に)、古代史を再編成した書という感じか。
古代史というと、やはり邪馬台国となるが、基本的には、九州説を中心として、あまり突っ込まず、解説。
この部分については、中国側の資料しかないので、突っ込みも難しいのだが。
私も、そのように感じているので、無難な展開。
ところが、記紀の時代に入ると、急に、記紀の話をベースにした展開の中、突っ込みが増える。
実在するか議論がある天皇の業績についても、120年(2周り)、年代をずらした上で、記紀にほとんど事実が記してあり、そこへの突っ込みにより、九州勢力と、大和政略との関係を追った形になっている。
面白いのだが、卑弥呼の時代の突っ込み方との差が気にはなる。
そこはおいておくとすれば、面白い。
大和政権は、九州の一部部族が東遷し打ち立て、他の九州勢力との抗争を広げる。
そこに、大陸(特に朝鮮半島)との抗争が加わり、事態はころころ変わる事態へ。
結果、大和朝廷は、ほぼ九州勢力を支配下としたが、磐井の乱で、その限界も露呈。
継体がその乱も抑えたところで、ようやく、大和政権が九州を支配下に収めたという物語。
韓国との闘いの際には、必ず、九州勢力との協力体制が必要になるが、当時は、まだそこまで大和政権の力は、強くなくて、その前に、九州勢力との闘い(協力体制の構築?)が必要だった。
その名残が記紀の端々に表れる。
景行天皇、ヤマトタケルノミコトの戦い、仲哀天皇の急死、神功皇后の活躍?
この辺の記述が、大和政権の九州勢力との抗争が続いていたことを示しているとする。
確かに、大和政権設立時から、瀬戸内海勢力とは協力関係にあり、九州、そしてその先にある大陸との抗争は、長く、先の見えない戦いだったのだろう。
面白かった。
結果的には、明治維新までそれが続いた?