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下町ロケット?

2018-11-08 12:00:00 | 18期生のブログリレー
皆さん、こんにちは。18期生の平野です。

11月4日㈰は中小企業診断士の日でしたね。新潟県中小企業診断士協会では、11月7日㈬、そう昨日、株式会社浜野製作所の浜野慶一社長をお迎えし、シンポジウムの基調講演が行われました。皆さん、今をときめく浜野慶一社長をご存知ですか?2017年にものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞、今上天皇最後の工場視察先にも選ばれた、墨田区の金属加工会社の経営者です。協会内では下町ロケットのモデル?なんて、噂が流れていました。しかし、それは違って、下町ロケットの関連番組内で当社のプロジェクトのことが取り上げられたことに尾びれがついてしまったようです。

1993年、29歳のとき父親が他界し、浜野社長は家業の金型工場を承継しました。2代目の経営者です。浜野社長、母親、従業員1名、計3名での再スタートでした。その後、いち早く少品種大量生産から、多品種少量生産のエキスパートへの脱皮を成功させました。しかし、2000年、近隣火災のもらい火で本社兼工場が全焼し、全てを失うという出来事を経験されます。その後、無我夢中で工場を再生。現在は、レーザー加工・精密板金・プレス加工から設計・開発を手がけるまで事業を展開しています。有名ところでは、電気自動車「HOKUSAI」、深海探査艇「江戸っ子一号」などのプロジェクトを成功させています。

感銘を受けたのは、経営理念の話。

『おもてなしの心を常に持ってお客様・スタッフ・地域に感謝・還元し、夢(自己実現)と希望と誇りを持った活力ある企業を目指そう』

これが当社の経営理念です。一見キレイで、すらっと入ってくる言葉です。しかし、これは社長の実体験から生み出された血の通った、魂が込められたものでした。

経営理念のキーワードその1「地域」
火事で工場を失ってすぐ、地域の方々の応援で、すぐに無条件(無条件とは何かまでお話されませんでした。)で別工場を借りられました。そのときに、感謝の思いを持って、この地で仕事をさせてもらおう。夢と希望を持った活力ある企業になるのが「地域」への恩返しになる、還元になると、浜野社長は強く思ったそうです。

経営理念のキーワードその2「お客様」
火事のあと、売上の9割を依存する得意先の購買部長は、全ての仕事を引き上げるよう課長に指示したそうです。しかし、課長はあの手この手で部長を説得し、取引を継続するよう動いてくれました。もともと当社が協力工場として、無理な納期にも献身的に応えてきたベースはあったにせよ、大変なときに助けてくれるお客様に感謝し、還元しなければとの思いが、この「お客様」という言葉に込められています。

経営理念キーワードその3「スタッフ」
火事が起こった当時の従業員はまだ1名でした。毎日取り立て屋に追われ、給料を払うどころではなかった。しかし、その従業員は文句を言うどころか、こう言いました。「あんたと仕事がしたいから、ここにいる。」と。社長は、夢と希望を持った活力ある企業になる。これが従業員(「スタッフ」)への最大の恩返しになると、このとき覚悟を決めました。

私なんかは、もともと浜名社長に人望・人徳があったからこそ、周りが手を差し伸べてくれたんじゃないかと解釈したくもなります。が、これを周りのお陰と感謝しているところが、社長のスゴイところです。

この経営理念は2003年に打ち立てられました。今、当社の従業員数は50名、取引先数は4,800社以上になるほど成長しています。

経営理念はややもすればお題目になってしまいます。しかし、実体験に根ざしたものは重みがありますし、人を動かす力があります。本物の経営理念とは何かを学べた1日でした。それと同時に、生き様、人間力というものについても考えさせられました。

どれも、一朝一夕には完成しませんが、一つひとつを積み上げていくしかない、と思うところであります。
コメント (6)
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