「稼プロ!」18期 運営チームの小林 隆です。
引き続き、「中小企業診断士が中小・零細企業の社長と向きあう際に必要な事」
を中心に、ブログを記載して行きたいと思います。
今回は、「財務分析」について記載します。
コンサルティングをすでに実施されている方には、当たり前の内容が多く含まれていると思いますが、確認の意味でご一読いただければと思います。
コンサルティングや診断の現場において、財務分析は極めて重要です。言うまでもなく、経営の結果が数値として表れているからです。同様に、経営課題を解決した結果も、最終的に数値として表れます。私は、「儲かれば、なんでもよい」といった考え方は大嫌いですが、企業経営は「儲けなけなければ、始まらない」のも事実ですので、数値の分析は、きわめて大切です。
財務分析を行う場合、基本的には、「損益計算書」、「貸借対照表」、企業によっては「キャッシュフロー計算書」、資金繰りが関係する場合は、直近の「資金繰り表」を入手することから始まります。
主に分析する視点は、①収益性、②安全性(資金繰り)、③各種効率や生産性、損益分岐点 等、です。
① 収益性
収益性は、主に損益計算書を分析します。損益計算書は、トップラインである売上と5つの利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益)がどのような効率で産出され、どんな項目(科目)がそれに影響を与えているか把握します。
売上は、最低限、主要な取引先別、販売している製品、商品、サービスごとに何が売れて何が利益に貢献しているのか、売上高と利益率をともに把握したいところです。
また、特に製造業の場合には、売上原価の内訳を、材料費、労務費、経費の内容をしっかり把握し、どこに問題があるのか、把握したいところです。
② 安全性
安全性は、「自己資本の充実度」と「資金繰り」が主な、着眼点になります。主に、貸借対照表を分析することになりますが、経営者の中には貸借対照表の読み取りを苦手としている方が多いので、しっかりと説明してあげることが必要です。
自己資本は、企業の内部に利益が留保され、純資産がきちんと投資した資本金を上回っているかどうかを把握します。 純資産の中には、「その他有価証券評価差額金」という科目があり、そ有価証券の評価差額金が直接純資産の部に計上されていることがあるので、そうした項目を除いた純資産の増減を把握したいところです。
また、借入金がある場合、借入金の増減は適正か、チェックします。その上で、借入金は、どこから借りているのか、何のために借入したのか、その返済はきちんと行われているのか、その返済額は、キャッシュの創出能力から考えて適正化等が分析の対象となります。多額の借入金がある場合は、「債務償還年数」を把握し、金融機関との折衝に、備える事も必要です。
また、売上債権、仕入債務 の回転期間は適正かも掌握したところです。売上債権の回転期間より、仕入債務の回転期間が少なければ、売上が上がれば上がるほど、資金繰りが苦しくなります。
加えて、棚卸資産は、その額は適正か、「棚卸資産回転日数(率)」より、分析します。
③生産性や各種効率・損益分岐点 等
その他の項目は、相談企業の状況に応じ、有効と思われる項目を判断し、分析します。
例えば、生産性は、「一人当たりの付加価値高」や「一人当たりの付加価値率」等、設備資産が大きい場合、「設備生産性」(付加価値高÷有形固定資産) 等を分析します。
また、ここでいう各種の効率とは、例えば「総資本経常利益率」や「労働分配率」 等を指します。
加えて、業界特性が顕著である場合、その指標に合致する、指標を分析しています。例えば飲食業であれば「FLR(Food:食材費、Labor:人件費、Rent:家賃)コスト」を分析することが有用であることは、コンサルタントならば広く知るところです。
損益分岐点は、企業が稼ぎ出せる限界利益と固定費のバランスが適正か、返済可能なキャッシュを創出するには、いくらの売上を上げなければならなければならないか等を把握するのに有用です。
さて、財務諸表等の数値の分析を行う時には、数値の絶対額を見る場合と、各署の経営指標を計算して使用する場合があります。
いずれの場合も、その良し悪しを語るには、何かと比較しすることが必要です。したがって、「TKCの経営指標」等の業種の平均や、自社の年次比較と比較をする必要です。
特に業界の中で、経営者は自社が業界の中でどのような位置にいるのか知らないことが多いので、業界比較の資料は喜ばれることが多いです。
数値からアプローチするコンサルティングでは、課題と考えられる数値の結果を分解して行くことで、悪化の原因を探り、どんな事柄があったから、何ができていなかったから等 活動ベースでの原因が特定します。原因が特定されたら、個々の事象に対する改善策を見出し、それを実施した結果の数値目標を設定します。数値目標を設定すると、成果を測定することも可能になります。それらをロジック・ツリーにして、経営者に見せてあげることも、経営者に結果の数値と原因の因果関係を説明する上で、有効です。
ただし、気をつけなければならいのは、実際のコンサルティングの現場では、財務諸表が改ざんされている場合があることです。なかなか、それを見破るのは難しいのですが、いくつかのパターンもありますので、コンサルタントは、そうした異常を読み取る力量も備えておくことが望ましいと考えます。
最近、診断士協会では、企業の経営状態を把握するツールとして「ローカルベンチマーク」を活用することを推奨しています。もちろんそうした新しいツールを使用することも有用ですが、大切なことは、その数値の指標から、相談企業の数値の裏側に起きている事象や実態を読み取ること(あるいは数値の裏側を知るための質問を企業に行う)ことです。
これまで、長々とコンサルタントとしは常識的な内容を記載して参りました。コンサルティンングには様々なアプローチの方法やスタイルがありますが、私はこれまでの経験から、企業の総合的な経営改善や顧問となって中長期的に当該企業に関わりたいコンサルタントの方は、財務的な分析とその活用の手法を取り入れることをお勧めします。
引き続き、「中小企業診断士が中小・零細企業の社長と向きあう際に必要な事」
を中心に、ブログを記載して行きたいと思います。
今回は、「財務分析」について記載します。
コンサルティングをすでに実施されている方には、当たり前の内容が多く含まれていると思いますが、確認の意味でご一読いただければと思います。
コンサルティングや診断の現場において、財務分析は極めて重要です。言うまでもなく、経営の結果が数値として表れているからです。同様に、経営課題を解決した結果も、最終的に数値として表れます。私は、「儲かれば、なんでもよい」といった考え方は大嫌いですが、企業経営は「儲けなけなければ、始まらない」のも事実ですので、数値の分析は、きわめて大切です。
財務分析を行う場合、基本的には、「損益計算書」、「貸借対照表」、企業によっては「キャッシュフロー計算書」、資金繰りが関係する場合は、直近の「資金繰り表」を入手することから始まります。
主に分析する視点は、①収益性、②安全性(資金繰り)、③各種効率や生産性、損益分岐点 等、です。
① 収益性
収益性は、主に損益計算書を分析します。損益計算書は、トップラインである売上と5つの利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益)がどのような効率で産出され、どんな項目(科目)がそれに影響を与えているか把握します。
売上は、最低限、主要な取引先別、販売している製品、商品、サービスごとに何が売れて何が利益に貢献しているのか、売上高と利益率をともに把握したいところです。
また、特に製造業の場合には、売上原価の内訳を、材料費、労務費、経費の内容をしっかり把握し、どこに問題があるのか、把握したいところです。
② 安全性
安全性は、「自己資本の充実度」と「資金繰り」が主な、着眼点になります。主に、貸借対照表を分析することになりますが、経営者の中には貸借対照表の読み取りを苦手としている方が多いので、しっかりと説明してあげることが必要です。
自己資本は、企業の内部に利益が留保され、純資産がきちんと投資した資本金を上回っているかどうかを把握します。 純資産の中には、「その他有価証券評価差額金」という科目があり、そ有価証券の評価差額金が直接純資産の部に計上されていることがあるので、そうした項目を除いた純資産の増減を把握したいところです。
また、借入金がある場合、借入金の増減は適正か、チェックします。その上で、借入金は、どこから借りているのか、何のために借入したのか、その返済はきちんと行われているのか、その返済額は、キャッシュの創出能力から考えて適正化等が分析の対象となります。多額の借入金がある場合は、「債務償還年数」を把握し、金融機関との折衝に、備える事も必要です。
また、売上債権、仕入債務 の回転期間は適正かも掌握したところです。売上債権の回転期間より、仕入債務の回転期間が少なければ、売上が上がれば上がるほど、資金繰りが苦しくなります。
加えて、棚卸資産は、その額は適正か、「棚卸資産回転日数(率)」より、分析します。
③生産性や各種効率・損益分岐点 等
その他の項目は、相談企業の状況に応じ、有効と思われる項目を判断し、分析します。
例えば、生産性は、「一人当たりの付加価値高」や「一人当たりの付加価値率」等、設備資産が大きい場合、「設備生産性」(付加価値高÷有形固定資産) 等を分析します。
また、ここでいう各種の効率とは、例えば「総資本経常利益率」や「労働分配率」 等を指します。
加えて、業界特性が顕著である場合、その指標に合致する、指標を分析しています。例えば飲食業であれば「FLR(Food:食材費、Labor:人件費、Rent:家賃)コスト」を分析することが有用であることは、コンサルタントならば広く知るところです。
損益分岐点は、企業が稼ぎ出せる限界利益と固定費のバランスが適正か、返済可能なキャッシュを創出するには、いくらの売上を上げなければならなければならないか等を把握するのに有用です。
さて、財務諸表等の数値の分析を行う時には、数値の絶対額を見る場合と、各署の経営指標を計算して使用する場合があります。
いずれの場合も、その良し悪しを語るには、何かと比較しすることが必要です。したがって、「TKCの経営指標」等の業種の平均や、自社の年次比較と比較をする必要です。
特に業界の中で、経営者は自社が業界の中でどのような位置にいるのか知らないことが多いので、業界比較の資料は喜ばれることが多いです。
数値からアプローチするコンサルティングでは、課題と考えられる数値の結果を分解して行くことで、悪化の原因を探り、どんな事柄があったから、何ができていなかったから等 活動ベースでの原因が特定します。原因が特定されたら、個々の事象に対する改善策を見出し、それを実施した結果の数値目標を設定します。数値目標を設定すると、成果を測定することも可能になります。それらをロジック・ツリーにして、経営者に見せてあげることも、経営者に結果の数値と原因の因果関係を説明する上で、有効です。
ただし、気をつけなければならいのは、実際のコンサルティングの現場では、財務諸表が改ざんされている場合があることです。なかなか、それを見破るのは難しいのですが、いくつかのパターンもありますので、コンサルタントは、そうした異常を読み取る力量も備えておくことが望ましいと考えます。
最近、診断士協会では、企業の経営状態を把握するツールとして「ローカルベンチマーク」を活用することを推奨しています。もちろんそうした新しいツールを使用することも有用ですが、大切なことは、その数値の指標から、相談企業の数値の裏側に起きている事象や実態を読み取ること(あるいは数値の裏側を知るための質問を企業に行う)ことです。
これまで、長々とコンサルタントとしは常識的な内容を記載して参りました。コンサルティンングには様々なアプローチの方法やスタイルがありますが、私はこれまでの経験から、企業の総合的な経営改善や顧問となって中長期的に当該企業に関わりたいコンサルタントの方は、財務的な分析とその活用の手法を取り入れることをお勧めします。