Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

ホイール リムセメントの掃除とベッド作り

2015-10-19 20:31:22 | ロード
先日から点検整備を行っているロードレーサー 今回はチューブラーホイールの
古いリムセメントの掃除と新たにベッド(床)を作ります





私のクロモリのロードレーサーに使っているホイールです 先日タイヤの張り替えの為
タイヤを外しました






定期的なメンテナンスの一環ですが タイヤを外すと
古いリムセメントは風邪をひいており 新たにベッド
を作ってやる必要が有ります ベッドとは新しいリムに
タイヤを貼る場合 リムのタイヤ装着面に予めボンドや
リムセメントで下地を作る事を言います リムセメントの
確実な接着力を確保する為の行程です

※ リムセメントの剥離はタイヤを外せば必ず必要と言う
作業では有りません 今回の様に完全に乾燥した物や
幾重にも塗り重ねられ重量や嵩が増した時に行います




まず古いリムセメントの除去から始めますが この
作業は屋外で行いましょう、結構粉塵が出ます




使う道具はリムセメントの状態にも依ります 
今回は一部柔らかい所も有りますが 概ね良く
乾燥した状態です






こう言う状態の時はワイヤーブラシや彫刻刀を
使うのが効果的です






リムの形状に合せた刃を選び古いセメントを
削り落して行きます それ程神経質になる必要は
有りませんがリムに対して、優しく作業を進めてやれば
良いですね 併せて床に直接ホイールを置くのではなく
ベニヤなどを敷いてリムに傷を付けない様に気を付けて
います






有る程度彫刻刀で削り ワイヤーブラシを使います
この様に中々一度では綺麗になりません






掃除が出来なかった所を同様に作業を繰り返します
少し根気が要ります




全体の古いリムセメントが剥がれたのでエアーブロワで
粉塵を吹き飛ばします ニップル穴に沢山ゴミが残るので
残らず出してしまいます






仕上げにシンナーなどの溶剤を使いタイヤの装着面を
綺麗に拭き取ります






これで古いリムセメントの除去は完了です 一本綺麗に
するのに使う時間は 30分から 1時間程度です乾燥した
セメントはこの程度で済みますが 粘度が残っている
生きたセメント層はこんな簡単では無いですね

過去に色々な方法でセメントの除去はししています
それぞれ記事にしていますが 剥離剤を使った一例です
【 リムセメント除去 SOYO 白セメント 】





ではタイヤの接着面も綺麗になったので 
タイヤを貼る前の行程 ベッド(床)を作りましょう




床作りにはボンドやリムセメントを使いますが 今回は
リムセメントを使います ボンドなら G17 辺りが良いでしょう






特に難しい事をする訳では有りません
薄く均一にリムセメントを全周に塗ります




リムサイドにはみ出したセメントは見た目も汚いので
シンナーで拭き取っておきましょう




一晩置きリムセメントの表面が乾いたら完成です
このベッドも人や用途により方法は色々ですが
私は一度塗るだけで終わらせています 





近くの河原での写真です 外国の人が見ればどの様に感じるのでしょうね 
これに情緒を感じるのは日本人だけでしょうか

チューブラーホイールのベッド作り、リムの表面をペーパーで粗しリムセメントや
ボンドを何度も塗り重ねる人も居ます これが絶対に正しいと言うのが無い作業です
自分の乗車技術や用途も考慮し、自分が良いと信じた方法で施工すれば良いと思います

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チューブラータイヤの メンテナンス

2015-10-15 20:23:22 | ロード
リムに接着剤を使って装着するチューブラータイヤは定期的なメンテナンスが必要です
特に難しい事をする訳では有りませんが 安全に走行する為に点検整備を行います





先日から整備をしている National のロードレーサーです 何時でも乗れる様に
整備はしていますがほとんど乗る事無く保管しています この自転車に使っている
チューブラータイヤは走行の有無に限らず、定期的なタイヤの張り替えは必要です




私はリムセメントを使っていますが 時間の経過と共に
その接着力が低下します その状態はとても危険なので
タイヤの張り替えを行います






使ているタイヤは Panaracer パナレーサーの 270g程度の
廉価な物です 張り替える前に現状を観察します この
サイドに見えるフンドシと呼ばれる布がタイヤから剥がれ
かけています




このリムとタイヤの間に有る布は本来タイヤに接着
された物です 最近のタイヤはパナレーサーに限らず
多くのメーカーの物で同じ症状が出ます 
高級タイヤの買い置きはしていませんが今回クラスの
ものは 新品未使用でも保管していると捲れて来ます
ちょっと困ったものですね




一ヶ所トレッドに傷が付いています 以前に小さな
ガラス片を拾いパンクをした所ですが パンクを
直した時に内側からパッチを貼っています 傷も
大きくなっていないのでまだ大丈夫でしょう






タイヤを剥しましょう バルブから空気を抜きます






空気を抜きバルブの反対側からタイヤを剥します
リムとタイヤはセメントで接着していますので タイヤの
サイドをリムから摘み上げる様にリムから剥していきます
あら、タイヤからフンドシが剥がれリムに残ってしまいます
これはいけません




本来はこの様にタイヤとフンドシが一緒になった状態で
リムから剥すものです






タイヤから全部のフンドシが剥がれるともう使えません
ドライバーに助けて貰います リムとフンドシの間に
双方に傷を付けない様にドライバーを差し込みます




ドライバーの先は反対側へ出ています






ドライバーでタイヤの両サイドを交互に持ち上げながら
ドライバーを移動して行きます 慌てずゆっくりと進めます






有る程度手先が入るくらい剥がれたら 手でタイヤを
上に持ち上げる様に剥して行けば良いですね タイヤを
張ってから時間が経っているのでセメンが風邪をひいて
います




タイヤを外しました この様な状態のリムセメントは
一応タイヤは引っ付いていますが 一旦外れると一気に
剥がれてしまいます 日常に使用する自転車はこの様な
事が無い様 少なくとも半年に一度はセメンの塗り替えを
行った方が良いですよ






風邪をひいてしまうとこの上に新しいセメンを塗っても
古い物は生き返らないので この後でセメントの除去も
行いましょう








さて取り外したタイヤです フンドシの両サイドが
ほとんど剥がれています






これは保管している新しい予備タイヤです 本来は
フンドシとタイヤは強固に接着しているものです




フンドシの中心はまだタイヤに接着しているので
両サイドの補修をしてやります 私が乗る程度なら
それで充分持ちます






フンドシとタイヤの接着にはボンド G17 を使います
古くから有る接着剤ですが今でも色々な所で使われて
います 歯ブラシも有った方が良いですね






ボンドを適量、タイヤとフンドシに塗り拡げます
あまりボンドが多いとサイドの硬いタイヤになって
しまうので やっと引っ付いている・・ そんな程度が
良いと思います






一度に長い距離は難しいので出来る範囲で塗っては
接着を繰り返して行きます






両サイドの補修が終わりました それ程時間は
掛かっていません 1本 30分程度です






他にも同様のタイヤが有ったのでついでにやって
しまいました ご覧の様に他のメーカーのタイヤも
同じ症状です Panaracer Vittoria LION がここに
吊ってあります 幾ら下位グレードの商品であっても
捨てられないです・・ 最後まで使ってやりますよ






今回のフンドシが剥離する問題はちょっと悩ましい
事柄ですね この写真は同じ日にタイヤを剥した
Vittoria RALLY ビットリアのラリー 決して粗探し
では有りませんが実際に有った事例なので紹介
致します 保管期間は長くタイヤ装着後は 300km
程度の走行です トレッドも充分残っています




何時も走行時は 7キロ位の空気圧で使っています
空気を抜いてタイヤを外します リムセメントの
塗り替えが目的です






リムと黒いタイヤのあいだに見えているのがフンドシです
タイヤを外す方向へ力を入れるとリムにフンドシが残り
タイヤだけが外れて行きます フンドシのタイヤ面には
黒い接着剤が使われています






このタイヤもドライバーを使い丁寧に剥しました
この後ボンドを使い先程のパナレーサーの物と
同様にフンドシの貼り付けを完了させました





六甲山に日が沈んで行きます 綺麗な夕暮れでした

走行距離の多い人ならこうなる前にタイヤの摩耗で寿命が来るのだと思います
でも走行距離の少ない人は注意して点検した方が良いですね そしてリムセメントも
半年に一度塗り替えれば セメントの溶剤で古いセメントも生き返り掃除までする
必要も有りません

今回のタイヤは一晩置けば使えますがホイールの古いリムセメントの除去と、新たな
ベッド作りをしないといけませんね 次回もお付き合い下さい

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クイックレバーの方向

2015-10-13 20:17:43 | ロード
最近はロードバイクに乗る人も多くなりました 本来競技用の自転車ですが
やはり一般車とは違う部分も有ります そんな中の一つ、ホイールの脱着を
行うのに便利なクイックレリーズ、その正しいレバーの締め付け方向をご案内
致します





先日変速機の整備をした際ホイールを装着する時に 最近間違った方向へ
クイックレバーを締め付けている自転車を良く目にする事があり それが
気になりました、特に後輪ですが クイックレバーの正しい方向とその理由を
解説して行きます




変速機の整備が終わったのでホイールを
装着します





冒頭に書きましたが競技用自転車としてのロードバイクのクイックレバーの
正しい締め付け方向はこれです






この方向へ向いているレバーを最近良く見掛けます
これは絶対にしてはいけない方向です






集団で走るロードレースで後続の選手に前輪を
差し込まれたら自分のクイックが開放されてしまいます
このフレームは逆爪ですが 最近のストレートドロップ
エンドでも走行不能になるのは同じ事でそれは絶対に
避けなければいけません






じゃこれなら良いだろうか・・・ 進行方向に向いたレバーに
縁石や落車した選手の自転車などが当るとやはり解放する
事も有ります 出来れば避けたい方向ですね




実は私も自転車に乗り始めた頃はこの方向に
していたのですが 靴の踵が当りそうで不安を
感じる様になってからは避けています






今メインで使ってるスプートニクも、この方向にしています 
ただ最近はバックとクイックレバーの形状でここへレバーを
持って来るのが難しい物が在るかも解りません そんな時は
試合中にトラブルが回避出来る事を優先に考え、その方向を
決めればれば良いと思います




フロントはこの様なフォークオフセットが有る
フレームならオフセットの曲がりに合わせた位置が
トラブルも無く見た目も綺麗ですね




ただフロントは最近のストレートフォークでは従来の
場所は少し不自然です そんな中でも私は操作が
出来る範囲でフォークに近い位置で使っています





どの様な整備でも試合中に走行不能にならない様に心掛けています
ロードレースと言う特別な環境での考え方には違い有りませんが
クイックレバーの方向にもこの様な心配りが有ると言う事ですね 

コメント (4)
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カンパ 変速機 プーリーの交換

2015-10-09 20:21:11 | 自転車整備 ディレーラー
オールドカンパと呼ばれる NUOVO RECORD ヌーボレコード リアディレーラーの
プーリーを交換します





私が選手時代に乗っていた NATIONAL ナショナルのロードレーサーは
今でも乗れる様に整備し保管しています






この自転車の変速機はカンパのヌーボレコード
1969年製です このオールドカンパと呼ばれる
変速機のプーリーは多くがこの様に割れてしまいます 




プーリーの交換をします メンテスタンドに乗せました






チェーンホイールは RECRD のⅢ型と呼ばれる PCD 151
フロントディレーラーもカンパのレコードです






上下のプーリーを取り外します








プーリーの取付けネジの頭は 8mm の六角です
どの様な工具でも結構ですが カンパの T型レンチを
使います








とても使い易い工具でこのサイズのネジには丁度良い
大きさです 今回のネジは全て正ネジです ネジが外れました






この状態で上のプーリーは邪魔をする物が無いので
直ぐに外れます 上のプーリーはガイドプーリーと
呼びます






次は下側のプーリーです これはテンションプーリーと
呼んでいます








こちらも T型レンチを使いボルトを緩めます プーリーには
チェーンの加重が掛っているので落さない様に注意






裏側のプーリーケージも自然に外れます
これで上下のプーリーが外れました 簡単な作業です






変速機を上から見るとピポットボルトの横に
文字が刻まれています NUOVO RECORD ヌーボレコードは
1968年の登場ですが 初期の68年69年のみ PATENT だけの
文字が有ります これ以降70年~84年まで PATENNT の後ろに
製造年の数字が刻まれる様になります






整備テーブルへ移動しました






こちらはガイドプーリーです カンパのこの樹脂プーリーは
年数が経つとほとんどが割れます ただ普通に使っていれば
こうなるまでに摩耗して交換するので特に問題は無かったの
ですが 現在はこの変速機を使った自転車がそれ程距離を
走るとは思えません 多くのオールドカンパファンの悩み処では
有るでしょう






テンションプーリーの方はまだ割れていません カンパの
プーリーは最初から一本筋が入っています 割れるのは
そこからですね








カンパのプーリーはこの様な金属の筒が入っており
両側に金属の押えが有りそれをネジで止めています




工業的にはこれも一種のベアリングらしいですが
カンパを語る時は ベアリング無しのプーリーと
多くの人が言っています






拘りが有るのならカンパの純正プーリーを使いたい処ですが
現実には手に入れるのがとても難しいパーツで 状態の良い
物は恐ろしい値段で取引がされています 今回は汎用性の高い
社外品を使います






付属のパーツは対応機種に応じたスペーサーです
説明書の内容に従いこの中から選びます ただシマノの
7速時代からの対応で当然今回の 5速なんて古い物までは
保証されていません 
ただこれに関係しているのはチェーンの巾で、それに応じた
プーリーケージの間隔が確保出来れば良いと言う事ですね






私の自転車には本来 3/32 と言う規格のチェーンを使いますが
そのチェーンも現行商品では有りません シマノ HG-91 と言う
6~8 速対応の物を使っています これは 5速でも使用可能です
スペーサーは 7速対応の物を使いましょう




7速用のスペーサーを切り離しました プラ模型みたいです






スペーサーを取り付ける前にグリスで回転部を保護して
おきましょう SPIN スピンのグリスを使います






シールドベアリングが使われていますが金属部分に
薄く塗布しておきます 回転性能に寄与しませんが
古い部品に対する儀式みたいなものです






スペーサーを取り付けました








純正のプーリーとの巾を比べてみます 純正 10.65mm 程度
今回の汎用品 10.00mm で 0.65mm 狭くなりました チェーンの
外面が 3/32規格は 8.2mm(ピン長さ) HG-91 は 7.1mm これを
考えれば大丈夫でしょう




プーリーの用意が出来たので 取り外した他のパーツも
綺麗にしました






メンテスタンドに戻ります 変速機の裏側など普段
ウエスの入らない所も掃除しておきます




このプーリーにはアッパーとロワーが有ります  SIS 機能が
無い変速レバーには必要の無い事ですがアッパー表示の物を
ガイドプーリーとして使います






取付けネジにもグリスを塗布、部品を長く使うなら
しておいた方が良い一手間です






8mm のボックスレンチで軽く締めておきます






ロワーと記されたテンションプーリーです






こちらはチェーンを通しておくのを忘れてはいけません






チェーンがプーリーを引っ張りますので ネジの線を
切らない様、丁寧に作業は進めます






スペーサーが樹脂なのでこのサイズのレンチでも
手応え無く幾らでも締まります 適度な加減で置いて
おきしょう 本締め後、プーリーが無理なく回転するか
確認をしておきました






変速機の裏側を見てみます






上下のプーリー取付けボルトのネジが出ています
巾が 0.65mm狭くなった分ですね この程度なら
オーケイです この時代の部品では許容範囲です





これでプーリーの交換は完了です








リアホイールを取り付けます クイックレバーは
この位置で締めます これには理由が有りますが
また記事にして書き留めておくのも良いかな・・






変速レバーはバーコンを使っています 変速操作をして
確認をします






トップからローまで問題無く変速します プーリーの巾が
狭くなった分、芯ずれを起こすのかと思いましたが特に
ストレスを感じません 0.325mm のセンターずれは
アッパーのプーリーが吸収してしまうのかも解りませんね





最近は今の自分の身体に合ったスプートニクばかり乗っていますが 久し振りにこの
自転車に乗ると、全く違う動き方に懐かしさを覚えます 今回の作業のついでに他の
部分のメンテもしてしまいましょう またお付き合い下さい

コメント (6)
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