子どものいじめの遠因のひとつの考察ともいえる文章に出会いましたので、メモ程度にご紹介致します。
日本の官僚制の問題とその改革案を論じようとした文章の傍論であって、いじめの本ではないのですが…
中央区政においても、「強圧抑制の循環」がないことを信じたいし、そう信じています。
*****『現代政治学の名著』佐々木毅編 中公新書 1989年初版******
辻清明『日本官僚制の研究』
西尾隆 執筆分担部分( 『現代政治学の名著』213頁)
福沢諭吉の「強圧抑制の循環」のたとえを援用するならば、官吏が人民に対して過酷に出るのは、その官吏が上官からの抑圧を感じている結果にほかならず、この強制→抑圧→強制という循環は、官僚制の頂点から末端の職員を経て、これと接触する人民からさらにその家族(夫→妻→子供→学校でのいじめ)へと、いわば社会全体の中で連鎖構造を形づくっているということになる。結局、どこかでこの悪循環を意識的に断ち切らねばならない以上、官僚制と民衆の媒介的地位に立つ下級官吏集団の自覚と奮起に待つしかないと著者(辻清明)は考えたのである。