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「普天間」問題の真実

2010-06-16 22:38:56 | 戦争と平和
 「普天間」問題の真実に迫る記事と感じましたので、掲載いたします。


*****毎日新聞( 2010年6月16日 0時04分)****
.記者の目:菅新政権の「普天間」政策=上野央絵(政治部)

 「沖縄に迷惑をかけ、社民党を政権離脱に追い込んだ責任を取る」。鳩山由紀夫前首相は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をこう総括して辞任した。後を引き継いだ菅直人首相は11日の所信表明演説で「私の最大の責務は歴史的な政権交代の原点に立ち返って、国民の信頼を回復することだ」と語った。そこで菅首相にお願いしたい。普天間問題においても「県外、国外」の原点に立ち返って、沖縄県民の信頼を回復してほしい。さもなければ自ら「外交の基軸」とうたった日米同盟を結果的に危うくすることになる。

 ◇辺野古84%反対 知事容認は困難
 鳩山氏が党代表として昨年の衆院選で訴えた「最低でも県外」が守れず、自民党政権下で日米が合意した「沖縄県名護市辺野古移設」をほぼ追認したことは、民主党政権に対する沖縄の不信感を決定的にした。毎日新聞と琉球新報が5月末、沖縄県民を対象に実施した合同世論調査では、辺野古移設に「反対」との回答が84%で、反対のうち、▽無条件撤去38%▽国外36%▽県外16%だった。

 民主党内でも「国外」がくすぶり続けている。

 「君、サイパンに行ったんだよなあ。今度ゆっくり話を聞かせてくれよ」。4日午後、衆院本会議場での首相指名選挙の最中。民主党の小沢一郎前幹事長が川内博史衆院議員の肩をたたき、ささやいた。川内氏は5月上旬に米自治領北マリアナ連邦のサイパン、テニアン両島を視察。地元首長から「米海兵隊の駐留を受け入れる余地がある」との言質を引き出していた。

 さらに川内氏が自分の席に戻りがてら、鳩山氏に「お疲れさまでした」と声をかけると、返ってきた言葉は「やっぱり、テニアンだよね」だった。「自らの思いを実現できなかった無念さ」を感じ取った川内氏は、新たな日米合意に盛り込まれた「グアムなど日本国外への訓練移転」を足掛かりに「訓練だけでなく代替施設も国外に移す働き掛けを今後も続ける」と話す。

 鳩山氏の「思い」とは、2日の辞任表明で訴えた「対米依存の安全保障からの脱却」だ。であれば最初からそう内閣の方針を決め、関係閣僚に号令をかければよかったと思うが、鳩山氏はそうしなかった。大きな要因は、社民党との連立だろう。「沖縄の米軍基地縮小と自衛力増強はセット」が鳩山氏の考え。安保観の異なる社民党と、いずれ衝突は避けられなかった。

 菅首相は党代表選に出馬表明した3日の記者会見で、普天間問題について「鳩山首相自ら辞めることで重荷を取り除いていただいた」と語った。菅政権発足を受けた毎日新聞の世論調査では「辺野古移設賛成」が過半数を占め、5月の調査と賛否の傾向が逆転した。しかし、社民党の連立離脱で「重荷が取り除かれた」とみるのは早計だ。むしろ、本土と沖縄の民意のギャップが広がった深刻な状況と受け止めた方がいい。

 仲井真弘多知事は15日、菅首相と初めて会談し、「県外、国外への県民の強い要求」を改めて指摘、「日米共同声明でまた辺野古という方向が出て、県民の期待は失望に変わった。声明の実現は難しい」と明言した。知事が4月25日の県民大会で語った「沖縄の過剰な基地負担は差別だ」との言葉は重い。

 普天間移設を巡る日米合意には代替施設の具体的な位置、配置、工法の検討を8月末までに完了するという期限が設けられた。政府は「環境配慮型埋め立て」工法を念頭に置いており、公有水面埋め立て許可権限を持つ知事の了解が必要だが、11月の知事選で再選を目指すとみられる仲井真知事が県民世論の大勢に反する「辺野古移設」を容認できる状況にはない。

 ◇安保のあり方 党内論争決着を
 菅首相が「日米合意を踏襲する」とする中で知事が了解できる状況を作り出すには、日米合意に盛り込まれた「米軍の訓練の県外・国外への移転」の具体化が最低条件。さらに、鳩山氏が言うように、自主防衛力を高めて沖縄の米軍基地縮小を目指すなら憲法や日米安保条約の問題に踏み込むべきだし、それに触れないのであれば国内で基地負担の平等化を目指すべきだ。

 菅首相は就任後、最初の街頭演説(12日、東京・新宿駅前)で「外交とは内政だ。国民が多少の代償を払っても、この国を守ろうとしているのか。それが外交の最も基本的な力だ」と訴えた。鳩山氏が身をていして問題提起した「日本の安全保障はいかにあるべきか」の論争に、民主党政権として決着をつけなければ、沖縄県民は納得しないと私は思う。「内政」なくして日米同盟の深化もあり得ない。

********以上*****
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