午前中に台湾の大使館に相当する台北駐日経済文化代表処を訪問。
明日からの台北訪問に際していろいろご尽力いただいたお礼などを申し上げるのと、釧路における今後の日台友好への協力についての意見交換ができました。
実は明日からの台湾訪問では、王金平台湾立法院委員長にお会いできるということになっていて、昨日まで言っていた意外な高官というのはこの方のこと。
王金平委員長は、今年五月に300人の訪問団を引き連れて北海道を訪れ、さらには「今度送られる鶴を見たい」ということを理由に、自ら足を伸ばして釧路まで着ていただきました。
台湾には「風雨故人来、艱難見真情(困難なときにこそ人の情けを見る)」という言葉があるそうです。
まさに日本の観光が放射能問題で苦しんでいるときに自ら訪問することで台湾の人々にその安全性をアピールしてくださったわけで、日本としては感謝に耐えません。
そのため、訪台にあたっては札幌分処にお願いをしてダメ元で会えなくても御礼の訪問だけはしたいと伝えていたのですが、なんと会えるように手配をしてくださったのです。これは実にありがたいことです。
王委員長に会えるというのは効果てきめんで、今日の代表処訪問でもはじめは政務担当部長が対応してくださるとのことでしたが、急遽いわゆる大使に相当する憑寄台代表が会ってくださることになりました。
憑代表は大柄な方で堂々たる押し出しの方。さすがは一国の代表者です。
会談の中では王委員長のことも話題になり、「明日お礼に伺いますが会えることとなりました」と言うと、「彼は本当に日本が大好きなんですよ。5月に北海道と釧路へ公式訪問をしましたが、なんとその後にプライベートでも北海道に旅行をされているんですよ。先日帰国したときに私も会いましたが夜遅くまで飲んでずいぶん酔っ払いましたよ」とのこと。
これで王委員長に会ったときには憑代表のことも話題にできるというわけです。こうしてひとつずつ話題を積み重ねてゆくのです。
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憑代表のお話では、李登輝~陳水扁政権の民進党政権時代は大陸の中国との人的、経済的交流を制限する政策を取り続けたために関係がぎすぎすしていましたが、親中派と言われる馬英九総統による国民党政権になってからは中国も対決姿勢を和らげてさまざまな交流が進んだと言います。
その代表的な例が札幌に分処を開設できたことで、これとて中国が了解をしなければできなかったことなのだそうですが、現政権はそこを上手に折り合いをつけています。
台湾は現在世界一の少子化の道を歩んでいるそうで出生率は1.0に満たなくて、子供が極端に減って大学の学生も少なくなっているところですが、そこに中国本土からの留学生が非常に多く来ているとのこと。
「そのことで同じ時期に建国をした両国を、多くの中国の若者が見比べることができています。方や自由の国になった台湾の現状と、方や共産主義を掲げた自国の現状はどうであるかを目の当たりにするのです。若者はどう思うでしょうか」
またビジネスの例が典型で、台湾のビジネスマンは約120万人が大陸に住んでいるのだそう。「台湾の人口は2,300万人ですが国の中にいるのは2,200万人ですよ」と憑代表は笑います。
「武力でも経済締め付けでも政治でも台湾をやっつけることはできませんでしたし、そのことで台湾の中に反中の意識が強くなっていることを中国も意識せざるを得ないところまできています。ですからビジネスと観光による交流は台湾にとっても安全を最も保障する交流なのです」
「台湾と日本との貿易では、台湾は日本から5千2百万ドルの輸入をしていますが輸出は千8百万ドルと圧倒的な貿易赤字です。また観光でも、台湾からはたくさんの人が日本を訪れますが日本から来る観光客はまだまだ多くはありません。これらももっと改善したいところです」
「中国も立場がありますから台湾との交流となるといろいろと注文をつけてくると思いますが、どうぞ大人の対応をしていただいて、台湾との交流をさらに進めましょう」
非常に有意義な会談ができ、明日からの台湾訪問にも弾みがつきました。
タンチョウの力とはいえ、随分盛り上がってきています。この流れを上手に使わなくては。