行きつけの床屋さんで髪を切ってもらいながら、担当してくれているお兄さんとダイビングの話で盛り上がりました。
彼はお爺さんが漁師をしていたとのことで、水産高校の出身なのですが結局海関係の仕事にはつかずに床屋の道を選んだのでした。
しかし高校の授業では職業潜水士になる資格まで取得したとのことで、プロとしてのスキルが身についているわけで、お遊びの私などとは比べ物にならない厳しさです。
お遊びダイバーは泳ぐスキルを求められませんが、職業となると足にはフィンをつけ水中眼鏡にシュノーケルをつけた状態とはいえ800メートルを制限時間内に泳ぐ訓練をするのだそうで、これは大変です。
さらには重りを持って立ち泳ぎをする訓練もあって、最高で10kgの鉄アレイを持たされたそうですからこれもまたすごいこと。
スキルでは比べものにならないのですが、お互いに意気投合したのは「北海道の海は色がなくて暗いよね」という一点でした。
本州の、それも沖縄などへ行くとカラフルなサンゴに熱帯魚も色味が豊かなのに対して、北海道の海の中は色が単調でいる魚もホッケ、箱ふぐ、ウニくらいしか見当たりません。このあたりが本州との決定的な違いです。
「一番怖かった思い出ってなんですか?」と訊いてみたところ、「コブダイって魚がいるんですが知っていますか?」と返ってきました。
「佐渡ヶ島で餌付けされている魚と戯れた思い出がありますよ」と言うと、「餌付けされているなら人にも慣れているんでしょうけれど、僕は野生のコブダイの群れに遭遇したんです。一番大きな奴は体長2メートルくらいあったんですよ」とのこと。
「2メートルは考えられない大きさだね。水中だと特に物が大きく見えるから怖いな」
「野生のコブダイって凶暴で、人間の手首くらい食いちぎるって言われているんです。それが群れで20匹くらい潜っていた上の方にやってきたんです。(これは行き過ぎるのを待とう)と思って海底に潜んでいましたが、エアも心配だし、ドキドキしました。今でもそれがダイビングでの一番の恐怖体験です」
そんな話で大いに盛り上がったのですが、私もダイビングを離れてもう十五年以上になりました。
「ダイビングは急な運動じゃないから歳を取ってもやれるんですよ」と教わったものの、人口が減る中でダイビング人口ってどうなっているのかな。
いろいろなレジャーも人口が減り趣味嗜好が変わって行く中でどういう方向に向かっているのでしょうか。
バブルの頃の何でもありから、静かでエネルギーを使わず自然や環境に優しいという方向に移行していることはなんとなく分かります。いずれにしてもいろいろな趣味を通じていろいろな時を過ごし様々な世界を見てみたいものですね。