二日間の御無沙汰ですが皆様お変わりありませんか。
私の方はこの三日間、一切の電子的なつながりを断ち切って、道北の原野キャンプへ行き、無事に帰ってまいりました。
この原野キャンプは、知人で北海道指折りのネイチャーガイドさんが主催するまさに原野でのキャンプです。フルの参加ならば三泊四日なのですが、私はそのうち後半の二泊三日に参加。天気にも恵まれてすばらしい時間を味わってきました。
この原野キャンプとは、文字通り原野の中にテントを張り、そこを拠点にしてカヌー、釣りを中心としたアウトドア活動で時間を過ごすというもの。
その原野たるや、集合場所から荷物をボートに積み込み一時間かけて移動しなくては到着しない場所で、イタドリが繁茂する窪地を使いますが一年の中でこの時期の四日間しかやらないという期間超限定キャンプです。
自動車では到底到達できない人里離れた土地なので、テントや衣服はもちろん、水すらも全部持参で、しかもボートに詰める量にはかなり制限があります。
しかし料理などは一流のネイチャーガイドが三人でサポートしてくれて、ワイルドな野外料理の三食付き、飲み放題付き、カヌー、釣りはし放題。人工物が一切見えない北海道ならではの原野風景も最高ならば、鳥たちの声に囲まれてのどかな時間が過ぎゆく最高級の時間が味わえました。
カッコウ、ホトトギスはいいとして、ジェット機が降下してきたかと思わせるようなオオジシギの求愛行動にはびっくり。
参加者全員が釣りをしますが狙いは何といっても野生のイトウ。11人のゲストのうち4人がイトウを見事にヒット。すかさずガイドが大きなタモ網をひっつかんでカヌーを漕ぎだし、ランディングをサポートするのですがそれもまた見事。
釣った人の達成感はもちろん最高ですが、そのカヌーの操船技術一つを見ていても「プロガイドとはこういうものか」、とその動きに感動を覚えずにはいられません。
全員でカヌーでの川下り川上りをしながら風景を楽しみ、酒を楽しみ、初めて会った人たちとの会話を楽しむ。何もない原野での時間は魂が研ぎ澄まされて、細かいことはどうでもよくなります。
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北海道は原野ばかり。地方の自治体はどうしたら地域振興ができるかを一生懸命考えていますが、なかなか答えは見つかりません。
こうしてみると原野も立派な資源、いや原野だからこそ都会の人たちが憧れる時間を提供できるということがあるのではないか。
ただし、そんな自然と人を結び付けるには確実な力量を持ったインタープリター(翻訳者)として、自然や時間を楽しさに結び付ける仲介者としてのガイドが必要だということ。
観光振興とは大手の旅行代理店が商品としての旅を売ることだ、と思いがちですが、そういう概念ではとらえきれない自然の楽しみ方をしたい人たちがたくさんいる。そしてどうもそのあたりに、需要と供給、あるいは人材のつながりのミスマッチがあって、求める人にうまく縁がつながらないようだ、というのが私の見立てです。
一人の若いガイドさんが言っていました。「この仕事をしていると、夜寝ていても意識があるというか、何かあると飛び起きれるような意識レベルになっちゃうんですよ(笑)」
そこまでのレベルでサポートしてくれるガイドに、都会の人たちなら一日何万円も払います。そういう時代がすぐそこに来ていそうでなかなかたどりつけない。
行政の課題、情報提供の課題、人のつながりの課題…などなど、二泊三日の原野キャンプでしたが、キャンプ仲間たちとの会話の中にたくさんのヒントがありました。
ガイドさんたちは次のキャンプガイド先へと向かってゆきましたが、我々は夜になってわが家へ到着。さて体も精神も娑婆にもどれるのかなあ。
※諸般の事情により、現地を特定するご質問にはお答えできませんのでご容赦願います。