北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「もうあなたがお考えなさい」~榛村さんとの対話その2

2016-05-25 23:45:45 | Weblog

 

 榛村さんとの対談は続きます。

 私が今回榛村さんに聞きたかったことは数多いのですが、その一つが「人口減少下でのまちづくりはいかにあるべきか」ということでした。

 榛村さんは新幹線駅を作ったりお城を木造で復元したりするのに市民寄付を募り見事にそれをやってのけました。しかしそれらは人口がまだまだ増加する側面で、経済の調子が良かったということが背景にあるのではないか。

 だとすると、今日のように人口減少社会の下で首長をはじめ、いわゆるリーダーと呼ばれる人たちはどのようにして社会を導いてゆけばよいのでしょう。榛村さんだったら一体どう答えてくれるだろうか、ということをとても楽しみにしていました。
 そしてついにその問いをする時が来ました。

「榛村さん、かつて榛村さんが市長をされたときと異なり今は人口が減る社会となりました。そのときに生涯学習の思想はどのように生きるでしょうか。また榛村さんならどのようなまちづくりをされますか?」

 すると答えは「お釈迦様が亡くなろうとするときに弟子たちが悲しみながらわんさか集まってきたんだよ」。榛村さんはときどきまるで飛び跳ねたような逸話を話してはぐらかすことがあります。

「はい」
「そしてお釈迦様が死期を悟ったときに、周りの弟子たちが嘆き悲しんで『お釈迦さま、お釈迦様に死なれたら私たちはどうすればよいのでしょうか』と問うた」

「…その答えは…」
「お釈迦様の最後の答えは、『怠ってはならない、怠るな』という一言だったという。しかし『怠るな』とは言っても、何を怠るなというのかまでは言わなかった。思うにそれは『あなたが期待されて社会でなすべきことを怠るな』ということなんだということだろう。もっとも、『あなたが期待されていること』を正しく理解することは難しいのだろうけれど」

 すんなりとは答えを教えてくれないところが榛村さんらしい。いつまでも他人に頼らずに、「もうそれはあなたが考えなさい」ということなのかもしれません。

 
       ◆   


 次の問い。「首長、あるいはリーダーとして大切なことはなんだとお考えですか」。

「…そうだな。人々や地域の声をちゃんと聴いてリードするということだろうな」
「声を聴いてリードする、ですか。なるほど」

「まあもう僕もいい歳になって、妻からは『もう声を聴くのもリードするのも両方おやめなさい』と言われているけどね、はっはっは…」

 人々の声を聴くということは、彼の徹底した現場主義によく表れています。人からの伝聞だけでは頼りにならないというので必ず自分で再確認をして自分なりに理解することを常にしていた人です。

 リードする、という意味では、「榛村さんは新幹線新駅や高速道路のインターづくり、そして掛川城の木造でも復元など、次から次へと市民にテーマや課題を与え続けることで市民に飽きられるような暇を与えなかった、と思うのですがいかがですか」と問いました。

「ははは、それはそうかもしれないね。でもお城に関していえば僕は木造でやれ、なんて言ってはいないんだ。『これからのお城は本物でなくてはならない』とは言ったけどね(笑)」

 
 榛村さんとたっぷり四時間にわたるインタビューは忘れていた記憶をよみがえらせてくれる時間でした。

 世のリーダーのみなさん、大切なことは『しっかりと声を聴いてリードする』だそうですよ。どうかよろしくお願いします。

 

コメント
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