蕎麦打ちの楽しみ方の一つとして、一本の蕎麦が二層になった蕎麦が作れます。
二色になるので「天地蕎麦」という言い方で売り出しているところもあるようです。
作り方は簡単で、異なる蕎麦粉でこねた玉を二つ重ねて二層にして、それを薄く延ばして切るというもの。
これでたとえば、更科の白い蕎麦と、同じく更科蕎麦に食用紅を少し入れて赤くすることで、一本の蕎麦が紅白になっておめでたい感じにできたり、片方を白くもう片方を茶そばにして、白と緑の組み合わせなんてこともできます。
今日の夕食は蕎麦にしようという話を妻としているうちに、「そういえば天地蕎麦って食べたことがない」という話になり、「じゃあ作るか」ということになりました。
年末に使った更科粉もあるし、普通の蕎麦粉もあるので、これで二層の蕎麦にしてみます。さて、どうなるか。
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まずは更科粉の玉を作って、それから普通の蕎麦粉で玉を作ります。分量はどちらも300gです。
で、これを重ねてお供え餅のようにして、それから後は普通の蕎麦と同じようにどんどん伸して薄くしてゆくだけ。
ところが、更科粉が白いのは良いとして、普通の蕎麦粉の色が思ったほどには黒くならないので、どちらも同じように薄い色の蕎麦で、一見すると見わけがもうつかない感じ。
それでも丁寧に薄く伸して、たたんで、切ってゆきます。
【表裏の色の違いがわかるかな】
今日は断面が見たいので、少し太めに打ちました。
ワカサギのから揚げでお酒をいただいてから、お腹がすいたところで蕎麦を茹でていきましょう。
沸騰したお湯に生めんを入れて、一度静かになったお湯の中で、沈んだ蕎麦が浮き始めてから時間計測開始。
茹で時間は1分10秒がベストのタイミングで、ここで上げて後は氷水で洗ってぬめりを取って冷たい水でしめると出来上がりです。
さて、茹でた蕎麦の断面を見てみましたが…、「あ~、わかんないなあ、これは」
どちらも薄くて、更科の部分と普通の蕎麦粉の部分の区別は色ではできません。
口に入れて歯ごたえでわかるかと思いましたが、これもまた表裏を区別するほどに差はありません。
ただ妻からは、「なるほど、普通の蕎麦かと思ったら、更科蕎麦の部分もあるから味わったことのないコシの強さが出ているのね。面白い~」と意外な高評価。
味は普通の蕎麦に感じられますが、確かにコシは普通の蕎麦では味わえないような弾力が出ています。
どっちつかずとも言えそうですが、もっと色の黒い超田舎の蕎麦粉と組み合わせれば白黒がはっきりしたかもしれません。
味や食感もあるけれど、蕎麦って案外見た目も評価のポイントですしね。
「こんな蕎麦なんです」とおやじのこだわりを主張すれば案外受けるかな。
まあ打つ手間の面倒くささほどに評価が得られるかどうかで考えると、コスパは悪いかもしれませんが。
次回はもっと色味の差を出すような工夫をしてみます。
ま、お遊びでした。
【蕎麦の下のほうが二層に見えるか…】