こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵

2017-09-23 19:29:39 | 読書感想
奈良瑛子、三十七歳。
独身、一人住まい。
子どももいないし、恋人もいない。
取り立てて美人というわけではない。
趣味らしい趣味もない。
読書や映画を見るのは好きだけど、マニアと言えるほどではない。

三年前に中古の1LDKを買ったので、貯金はあまりなく、ローンも残っている。

そんな瑛子がある土曜日に、自転車でいつもと違う道、違う住宅街を、ふらふら走っていると出会ったのがカフェ・ルーズだった。
メニューには見慣れない名前が並び、説明を読もうと顔を近づけた時、声をかけてきたのは六年前に瑛子の勤める会社を退職した、葛井円だった。

居心地がよく、ここに来ただけで世界を旅した気分になれる。
そんなコンセプトのカフェ・ルーズに足しげく通ううちに出会う人々は、気持ちのよい人もいれば、心がささくれ立つような悪意の塊の人もいて・・・。

主人公の瑛子に一番親近感がわき、共感を覚えるのは、私が独身なせいでしょうか?
でも、既婚者や円に強く当たった彼女の元上司、その他、共感できなくても同情の余地がある人もいて、皆、何かを背負っていきているんだなあ、と思いました。
何と言うか・・・同志っていうの?ある程度は痛みを分かち合う事ができる人が、たくさん出てきます。

円の兄を除いて・・・(笑)

瑛子が自然体だからっていうのも、あるかもしれません。
面白かったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする