こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『グリフォンズ・ガーデン』早瀬耕

2018-06-22 19:31:28 | 読書感想
『プラネタリウムの外側』の前日譚で、早瀬さんのデビュー作です。

主人公が就職のために彼女と訪れた札幌の知能工学研究所には、バイオ・コンピュータのIDA-10があり、彼はその中にもう一つの世界を構築しようとする。

今回、初めに出てきた夢が、ラストの展開を暗示するものだったんですね。
まさか未來が過去を決定してしまうとは!かなりの驚きでした。

これ以上はネタバラシになりそうなので書けないのが残念です。
もっと面白さを伝えたいのですが、私の筆力ではここが限界です。
『プラネタリウムの外側』と共に、お薦めします。
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『乗りかかった船』瀧羽麻子

2018-06-21 19:48:51 | 読書感想
北斗造船という造船会社を舞台に、営業部から人事部に回された事に不満を持つ野村雄平から始まり、人事部から組立課に異動となった佐藤由美、組立課に勤めつつ設計を希望する宮下一海など、それぞれのやりがいや悩み事などが描かれていきます。

確かに、表面だけ見ると、人事部は何を考えているのかという采配が見受けられますが、深く説明されると適材適所なのは間違いないんですよね。
しかも最終話、あの人物でさえ、実は人事の采配から逃れる事ができなかったというのが、当然と言えば当然であり、驚きでもありました。

面白いお仕事小説です。
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『わたしの本当の子どもたち』ジョー・ウォルトン

2018-06-17 19:44:17 | 読書感想
パトリシアが若い頃にマークとの関係をどうしたかによって、彼女の人生ばかりか世界情勢が違ってきた。

私がパトリシアなら、そして逆に傍観者としての自分なら、どう決断するか、またして欲しいか。
自己犠牲は美しいように見えて偽善的でもありますし、何より幸福になりたいと思うのが当然の事です。
しかし、そのために多くの人々を犠牲にするのは、かなり辛い事でもあります。
ウォルトンさんは、とても難しい問題を提議してくださったものです。

話はそれますが、この話を解説者はバタフライ効果と表現しましたが、日本人なら「風が吹けば桶屋が儲かる」でしょ?と思ってしまったのですが、意味違いましたっけ?微妙なところかもしれませんが。

何にしろ、並行世界ものの中でも特に面白いものの一つなのは確かです。
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『緑の扉は夢の入り口 第一の夢の書』ケルスティン・ギア

2018-06-12 19:30:39 | 読書感想
リヴと妹のミアは、オックスフォード大学で教鞭を執る事になった学者の母と、少し郊外にある十八世紀に建てられたコテージに居場所を見つけられたはずだった。
しかし、母親が新しい恋人を見つけ彼の家族との同居を願ったため、ロンドンの街中で義父と義兄姉と暮らす事となった。

そんな同居を始めたある晩、夢の中に新しい学校で見かけた男子四人組の人気者が現れる。
妙にリアルなその夢で、彼らは墓地に集まり怪しげな儀式を行っていた。

前のシリーズはタイムトラベルものでしたが、今回は夢とホラーを取り扱ったものでしょうか?
おどろおどろしい面もありつつコメディタッチで、リヴがリアリストなため、さほど怖いものではありません。
今回、諸悪の根源が去ったように見えて、まだまだ災厄をまき散らしそうな様子。
リヴたちが魔物を追い払い、現実に戻ってくるまでの冒険が楽しみです。
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『プラネタリウムの外側』早瀬耕

2018-06-11 19:49:07 | 読書感想
南雲薫とその友人は、有機素子コンピュータで会話のアルゴリズムを設計し、それを利用した出会い系サイトを立ち上げ、副業としていた。

元恋人の川原圭を亡くした佐伯衣理奈は、このプログラムを利用して圭の本心を探ろうとする。

表題作が面白いのはもちろん、仮想現実の中の人物視点から物語がスタートする事で、初めから物語の中に引きずり込まれました。

読み終わってみると、仮想現実ってミクロコスモスだなあと感じ、大和眞也さんのジュゼシリーズが完結していないのがもったいなく思えました。未だに続きが読みたいと思っているのですよ。集英社が頑張ってくださっていたらねえ。

おっと、脱線。
それはともかく、このコンピュータがミクロコスモスを実現できそうで、怖さも感じられました。
仮想現実の中の人々を、自分と同じ人間だと認められる柔軟性が自分にはあるのか?と考え込んでしまいます。

自分の立ち位置を様々に変えて考えられる、面白く複雑でありながら、読みやすい物語でした。
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