こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ゆめでもいい 車のいろは空のいろ』あまんきみこ

2023-01-11 20:04:13 | 読書感想
 
あまんきみこさんの「車のいろは空のいろ」シリーズの最新刊が、昨年11月に22年振りに発売されました。
私は昨年末に気づいたので、手に入るのも遅くなりました。

空色のタクシーの運転手・松井さんが今回出会うのは、こだぬき、こねこ、こぎつね、こいぬ、あかちゃん、ぬいぐるみ、・・・そして?

何とも愛らしく、温かく、切なく、懐かしい。
挿絵画家さんは変わったようですが穏やかさは同じで、とてもやわらかい世界を表現して下さっています。

とても和ませてくださる本です。
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『推理大戦』似鳥鶏

2023-01-10 19:53:11 | 読書感想
 
資産家の祖父を持つ廻は、彼の持ち物である聖遺物と目される人の骨を懸けて行われるゲームの進行役を行う事となった。
ゲームの内容は、祖父が設定した「問題」を一番早く解いた者にその”聖遺物”を与えるというものだった。

ゲームの解答者は、まず、廻の優秀ないとこである大和。

次いでアメリカ合衆国から、コンピュータに秀でているシャーロット・パウラ・ティンバーレイク・・・と思いきや、彼女の自作AIが対象だった。

3番目に登場するのは、ウクライナのボグダン・ユーリエヴィチ・クルニエンコ。
目に入るものについて、短時間で微に入り細を穿つように観察、考察、定義などができるが、脳が疲れやすくもある人物であった。

ここでもう1人現れる日本人は、警察犬の女性ハンドラー・高崎満里愛。
彼女の特異さは、犬以上の嗅覚を持つ事なのだ。

最後にもう1人、ブラジル代表のマテウス・リベイロは両親にカルト宗教の教祖として利用されているが、どんな人物であっても、その嘘を見抜く事が出来るという特技を持ち合わせていた。

彼らが集まった北海道で、早速、意図的とみられる殺人事件が発生し、全員解決に乗り出すが・・・。

実は、他にも解答者が出てくるところも思いがけない状況なのですが、それ以上に散々使い倒された古いネタと思っていたある特徴が、とある人物に設定されていて「そんな風に使えるんだ⁉」と、驚かされました。

思い切り騙された上に、ぶん回された気分です。

しかも、相変わらずあとがきも人を食っていますし、楽しすぎました。
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『ドアを開けたら』大崎梢

2023-01-08 19:46:30 | 読書感想
 
自宅マンションを売り払い引っ越す予定にしている鶴川佑作は、部屋の整理中にまだ借りていた雑誌があるのに気づく。
同じマンションに住む七十歳過ぎの独身の男性・串本英司さんに返すためご自宅にうかがうと、よくある事とはいえドアの鍵がかかっていなかった。
留守中ではなさそうなのを確認しつつ声を掛けながら入っていくと、串本さんはリビングと和室の境目に倒れていた。

一度は警察を呼ぼうとしたが、近所で死亡者が出たマンションの部屋の値段が下がった話を聞いた覚えのある佑作は、売買交渉中の自宅の契約が決まる明日まで待ってもらいたいと思い、ひとまず、そのまま帰宅する事にした。
しかし、串本さんのお宅から出てくるところを近所の男子高校生・佐々木紘人に見られた上に映像まで撮られ、あるものを取ってくるように脅される。
渋々、現場に戻ると、なぜか串本さんの遺体が消えていた。

その後、佑作と紘人は、事件の謎を追う事となる。

ミステリ自体も面白いのですが、佑作や串本さん、紘人の生活や事情がよく分かり、事件解決後も、その事が佑作や周りの住人たちの人生をより良い方向に動かしていて、後味の良い物語になっています。
おすすめです。
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『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵

2023-01-05 20:27:14 | 読書感想
 
奈良瑛子は37歳の独身会社員。
3年前に中古マンションの1LDKを買ったので、貯金はそんなに無い。
自分が不幸だと思いたくはないが、それでも3日に1度くらいは不安になる。

現状が変わらなけれはラッキーで、この先いきなりリストラされたり、大病をして働けなくなる事も考えられるのだ。

そんなある日、職場の後輩・あずさに結婚退職の相談をされ、六年前にも当時の後輩からカフェをやりたいと相談されて、辞めて行かれた事を思い出した。
この週末に見つけたカフェ・ルースに、その六年前の後輩・円がオーナー兼店長としており、その居心地の良さに通い続けるようになる。

そして瑛子と円の前に、あずさの思いがけない問題をスタートとして次々と謎が現れてくる。

2019年に出版された本なので、円も含めて自由に気軽に海外に(仕事とはいえ)旅行に行っています。
日常の謎のミステリですが、コロナ禍の現在、海外でなくとも以前のようにいつでもどこでも外出や遠出が出来るようになるといいのにと感じました。
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『モノクロの夏に帰る』額賀澪

2023-01-03 20:12:41 | 読書感想
 
小学生時代の作文で祖父の戦争体験を捏造した事がある書店員から始まり、保健室登校をしている二人の女子中学生や終戦記念日に組む特番について特別な視点を要求されるテレビディレクターなど、様々な人々がバトンタッチをするように戦争に対する考えや思いを迷いながら表出していきます。

私としてはアメリカ人のレオ君の視点が、新鮮に感じられていいなと感じました。
それだけに、つい同調圧力をかけてしまうのは私も含めて日本人の悪い癖と思いますね。
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