興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

肩たたき一つでできるボランティア

2006-10-20 | チラッと世相観察

 先日、東京駅近辺で飲んで、夜11時過ぎ、帰宅のため地下鉄丸ノ内線に乗った。終点の池袋まで行って、そこから私鉄に乗りかえるためである。
 幸い席を得たが、酔いと日頃の疲れのためかウトウトしてしまった。フッと気がつくと、そこはまだ東京(駅)であった。

 電車が動かなかったわけではない。時間は30分の余を経ている。眠っているうちに池袋まで行き、折り返してきたのである。
 わたしは慌ててとび降り、ふたたび池袋方面行きに乗り換えた。

 何年か前、やはり夜遅く京王線の笹塚から次駅で終点の新宿に行く電車に乗ったときも眠ってしまい、気がつくと上北沢であった。新宿で折り返して10分ほどの駅である。

 この両線とも、終点で車掌が起こしてくれない。前客がおりてすぐ、折り返しに乗る新客が入ってくる。池袋と新宿で、前客と新しい客たちが眠っているわたしを起こしてくれなかったのだ。

 乗り越しは、もとより本人の責任である。周囲の客に起こす義務はない。しかし、上記のケースは途中駅でなく、折り返し駅でのことだ。
(この人は、ほんとうはここで降りなければならない)
と、わたしを見た誰にもわかったはずである。

 ちょっと肩でもたたいてくれれば、この哀れな酔っ払いおじさんは深夜帰路をはずれ、お家(うち)がどんどん遠くなることはなかった。

 指一本ならぬ、肩たたき(退職勧告ではない)一つでできるボランティアもある。

(写真追加 2006.10.20)