興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

「冬ソナ」ユジンのうなずき方

2006-10-25 | 韓国文化垣間見
 今話題の韓国ドラマ「冬のソナタ」のヒロイン、ユジンは、うなずき方が魅力的である。彼女はうなずくとき、首をたてに数回ふる。
 「チュンサンて人は、そんなにぼくと似てるの?」
と相手役のミニヨンが聞くと、ユジンは口を開く代わりにまずうなずく。清楚でかわいらしいその顔を、5回ほどかるく上下させる。そして、
「ええ、錯覚したくなるくらい。(あなたを)チュンサンだって思い込みたかったこと、そう信じたかったこと、何回もありました」
と答えるのである。
 このドラマは、全体にゆったりしたテンポで進行するので、ユジンのうなずきはそのテンポに合った演技、または監督の演出だったのかもしれない。実際、ミニヨンも、他の出演者も、このようなうなずき方をすることがある。

 わたしは日頃、こういうゆったりしたうなずき方をあまり見ないように思う。
 人々は、相手の話を肯定するより先に、「て言うかあ」とか、「いや、それはさあ」とか、「でもねえ……」などと、異を唱えがちである。
 自分を主張するのに急で、ときには相手の話をさえぎってでも思いついたことを口にする。口にしないまでも、相手の話の切れ間をうかがって、うなずくどころでない。
 相手の話がとぎれると、ラーメンをすすりながらでも話をする器用な人もいる。

 間髪を入れぬウイットに富んだ受け答えは、人に才気を感じさせる。交渉事などでは、いちいちうなずいていられない場面もあろう。しかし、日常の会話においては、誰しも自分の話をじっくり聞いてほしいのだと思う。言わんとするところをしっかりと受けとめて、うなずいてほしいのだと思う。
 これは、興が乗るとしゃべりすぎる自分への戒めでもある。

 ところで、わたしには、ユジンのうなずき方を見ていて、一つの問題意識がめばえた。
 このうなずき方はユジン個人のくせや「冬ソナ」出演陣の演技ではなく、韓国人一般の肯定のしぐさなのではないだろうか、という問題意識だ。

 しぐさには、その国の人々に特有のものがある。例えば、首をよこにふるのは日本では否定または拒否の表現であるが、映画などを見ると、欧米では首をよこにふりながら、「アイ・ラブ・ユー」と言ったりする。

「ユジンうなずき」は韓国の人々に広く見られるしぐさなのかどうか、韓国の人も、「て言うかあ……」と言うのかどうか、ちょっと興味がある。
 これを究明するには、やはり現地に行って街の人々を直接観察するしかない。機会があれば「冬ソナ」ツアーにでも乗って、この国を訪れてみたい。
 ついでに本場の焼肉を賞味してこよう。

2004.8.7
(2006.10.25 写真追加)