酒を飲むのにいちばんいい時間は、なんといっても黄昏どきでしょう。
夕方、夕暮れ、暮れどき、暮れなずむころ、夕景、かわたれどき、トゥワイライト・タイム……、この時間帯を表す言葉は多い。
「夕暮れの時は、よい時」
と、堀口大学も言っている。
一方、車を運転する人にとっては、一瞬前方の歩行者が見えなくなることのある魔の時間帯でもあるという。逢魔が時という、この時間を表す言葉もある。
子供たちが遊んでいて、神かくしに遭うのも、この時間である(にちがいない)。
子供が遊ぶといえば、小さいころ、外で遊んでいて、ご飯だよと呼ばれても帰りたくなかったという記憶がある。
日の短い季節だったのだろう、数メートル先が見えなくなるくらい暗くなって、ようやくあきらめて帰ったものだ。
このように黄昏どきはわたしにとって、懐かしさと不思議さがないまぜになった魅力的な時間だ。
朝酒も昼酒もうまいが、後、身体がだるい。夜遅くなってからでは、ゆっくり飲めない。夕方までに仕事を終え、その解放感のなかで酒を始める、これがいいのである。
わたしには、黄昏どきこんな形で飲みたいという一つのイメージがある。
薄暗い店のカウンターにすわり(たぶん寿司屋と思う)、入り口に目をやると、外は日が陰り、道に水が打ってあるのが見える。夏の夕方であろう。
道は鋪装などされていない。カウンターからは見えないが、四、五メートル先には、両岸に柳の木が植えられた小さな堀が通っている。その店は堀端にあるのだ。
おちついた町の古くからある飲み屋街。その片隅にある馴染みの店。そのなかでわたしは、ゆっくり手酌で酒を楽しんでいる。
わたしのイメージは、そんな情景である。
いまどき、夏場に戸を開け放している店はないだろう。冷房を入れ、店内も明るくしている。このイメージは、夢か現つか、ノスタルジーのこもったファンタジーである。
そのファンタジーに思いをはせつつ、いつも夜中まで仕事に追われている。
2001.4.12
(2006.12.13 写真追加)
夕方、夕暮れ、暮れどき、暮れなずむころ、夕景、かわたれどき、トゥワイライト・タイム……、この時間帯を表す言葉は多い。
「夕暮れの時は、よい時」
と、堀口大学も言っている。
一方、車を運転する人にとっては、一瞬前方の歩行者が見えなくなることのある魔の時間帯でもあるという。逢魔が時という、この時間を表す言葉もある。
子供たちが遊んでいて、神かくしに遭うのも、この時間である(にちがいない)。
子供が遊ぶといえば、小さいころ、外で遊んでいて、ご飯だよと呼ばれても帰りたくなかったという記憶がある。
日の短い季節だったのだろう、数メートル先が見えなくなるくらい暗くなって、ようやくあきらめて帰ったものだ。
このように黄昏どきはわたしにとって、懐かしさと不思議さがないまぜになった魅力的な時間だ。
朝酒も昼酒もうまいが、後、身体がだるい。夜遅くなってからでは、ゆっくり飲めない。夕方までに仕事を終え、その解放感のなかで酒を始める、これがいいのである。
わたしには、黄昏どきこんな形で飲みたいという一つのイメージがある。
薄暗い店のカウンターにすわり(たぶん寿司屋と思う)、入り口に目をやると、外は日が陰り、道に水が打ってあるのが見える。夏の夕方であろう。
道は鋪装などされていない。カウンターからは見えないが、四、五メートル先には、両岸に柳の木が植えられた小さな堀が通っている。その店は堀端にあるのだ。
おちついた町の古くからある飲み屋街。その片隅にある馴染みの店。そのなかでわたしは、ゆっくり手酌で酒を楽しんでいる。
わたしのイメージは、そんな情景である。
いまどき、夏場に戸を開け放している店はないだろう。冷房を入れ、店内も明るくしている。このイメージは、夢か現つか、ノスタルジーのこもったファンタジーである。
そのファンタジーに思いをはせつつ、いつも夜中まで仕事に追われている。
2001.4.12
(2006.12.13 写真追加)