興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

一つ先の青信号

2011-07-31 | 余白の創作ことわざ

久々に 「余白の創作ことわざ」 です。

一つ先の青信号 [に走るな]   ひとつさきのあおしんごう [にはしるな]

<意味>
点滅を始めた青信号や、3~40メートルも離れた先の青信号に間に合おうと、焦って走ることはない。 次を待てばよい。 何ごとにも自分の歩みに合ったタイミングというものがある。

<さらに一言>
「駆け込み乗車はおやめください。 ドアはもう閉まっています!」
というアナウンスを、地下鉄などの朝のホームでよく耳にします。
電車を見ると、ドアはまだ開いているのに・・・。

「なに、ドア、まだ閉まってないじゃん」
と思うのは考えが浅い。 目の前の電車はすでに乗っている人たちのもので、 ‘駆け込み’ をしたい人たちには 「閉まっている」 ものなのです。
それを無理やり跳び乗ろうとするから、電車の遅れが増幅していくのですね。

黄色に変わりかけた青信号も遠くの青信号も、これと同じことなのでしょう。 まだ青くてもそれは自分の渡るものではなく、前に歩いている人たちのものなのです。

人生もこれと似ていないでしょうか。 同期のアイツが先に昇進した、後輩のサキちゃん(仮)が先に結婚した・・・。
顔で笑って心で泣いて。 「おめでとう」 と言いながらも心は穏やかでない。

でも、これも考えようです。 たとえ 「遅れ」 をとったとしても、必要以上に落胆したり焦燥感にさいなまれることはない。 自分には自分に与えられたタイミングがあると割り切ることも大切なようです。

人間万事塞翁が馬。 待てば海路の日和あり。 一歩一歩地に足をつけて、焦らずに自分の人生を歩んでいきたいものです。

<もう一言>
最近とても面白い本を読みました。 『英米のことわざに学ぶ 人生の知恵とユーモア ― 日英のことばと文化』 (奥津文夫・著/三修社・刊) です。
英米のことわざを多数引きながら、軽妙かつ滋味あふれる文章で人生の真実に迫っています。

この本の中から、今回の ‘創作ことわざ’ の意に近い英語のことわざを二つほどご紹介します。

Every cloud has a silver lining. どの雲にも銀の裏地がついている。(人間万事塞翁が馬)
It is a long lane that has no turning. 曲がり角のない道は長い道である。(待てば海路の日和あり)
                                     
(日本語訳は奥津文夫氏)
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3708