興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

福島、湯と酒と美味の旅

2018-11-14 | 散歩、時々旅

先週末、福島県に行ってきました。

去年までの6年間、毎年会津に一泊で行っていた友人たちと、今年は少し方向を変え、同じ福島県の二本松市方面を訪ねました。
男ばかり5人の車旅です。

この旅のテーマは例年「湯と酒、ときどき祈り」。温泉や蔵元を訪ね、自然を愛で、寺社や美術館にも寄ります。

上の写真は、二本松市にある蔵元、奥の松酒造。建物の中に酒蔵ギャラリーがあり、試飲と購入ができます。
この日はあいにくの雨となりました。

 

 

 

   
   

蕎麦の「鈴風」で昼食をとったあと、同じ二本松市にある檜物屋(ひものや)酒造店(上)と大七酒造(下)へ。

奥の松酒造とおなじく、いずれも仕込み中のため工場見学はできませんでしたが、購入はできました。
檜物屋酒造店の千功成(せんこうなり)シリーズは、地元以外では手に入らないめずらしい酒。
大七酒造は大きな蔵でした。すべての酒が ‘生酛(きもと)造り’(厳選した清酒酵母を使い、時間をかけて醸す)とのことです。

 

 


    

高村智恵子生家。

智恵子の実家も、造り酒屋だったのだそうです。同じ敷地内に智恵子記念館もありました。

 

 

   

そのあと福島市方面に北上し、西側の山間にある高湯温泉に向かいました。

まず、露天風呂の共同浴場「高湯温泉あったか湯」に浸かり、この日の宿「静心山荘」へ。(上の写真)

 

 


    

静心山荘のお風呂です。湯船も壁も檜造り。

「あったか湯」と同じく、ここも高濃度の硫黄泉。湯の色が緑白色です。
強い硫黄の匂いが鼻をつきました。動脈硬化やリウマチなど、さまざまな症状に効くようです。

 

 

 



静心山荘の晩御飯。
ここの食事は、翌日の朝食も含めて、お世辞ぬきにほんとうに美味しかった。
野菜が多く、調理に手がかけられていて、どの一品もそれぞれ味が秀逸。旨い酒とともに心から堪能しました。

 

 


  

翌日は朝から共同浴場巡り。高湯温泉からさほど遠くない土湯温泉の「中之湯」と、岳(だけ)温泉の「奥岳の湯」を回りました。
土湯温泉は「こけし」で有名なところ。土産物店などでズラッとならんだこけしもゆっくり見てきました。

上の写真は、二本松市街へもどる途中で見た景観。
前日は雨にたたられましたが、雲が切れてきました。尾根に陽が当たり、稜線がくっきり浮き彫りになって美しかったのに、写真で見るとそうでもない。(腕のせいではない、としておきましょう)

 

 


   


二本松市内の大隣寺わきにある大銀杏。黄葉が見事でした。

 

 

 


   

大隣寺へ登る階段にも銀杏の落ち葉が・・・。

 

 



   

この大隣寺は、二本松藩主だった丹羽家の菩提寺で、丹羽歴代藩主の墓があります。
また、戊辰の役で霞城(二本松城)を死守した二本松少年隊の戦死者14人も眠っています。(上の写真)

 

 



    

浪江町から避難して二本松で開業した「杉之家」で、〈なみえ焼きそば〉の昼食をとったあと、霞城の城跡へ。
上の写真は、霞城天守閣の石垣の上から見た二本松市内。里の紅葉(もみじ)がちょうど見頃でした。

 

 

    

ここは阿武隈川近くの観世寺(かんぜじ)

その昔、この辺り安達ケ原で、旅人を岩屋に泊め、殺して食べる鬼婆(おにばば)がいたという鬼婆伝説のあるお寺です。

 

 


   

境内に入ると、とてつもなく大きな石が複数あるのにびっくり。鬼婆が棲んだという岩屋です。
この石、だれがどう運んできたのでしょう。

その手前が鬼婆が出刃包丁についた血を洗ったという「出刃洗いの池」。





   

このお寺の100メートルほど離れた阿武隈川の川岸には、鬼婆の墓といわれる「黒塚」もありました。

これだけ状況がそろっているということは、鬼婆はきっと実在したのでしょう、うん。

 

 

      

旅の土産は檜物屋酒造店の千功成純米酒と、大七酒造の純米生酛。いずれも四合瓶。
飲むのが楽しみです。


今回もたいへん充実した旅となりました。個人的には用事が重なり、遠出はむずかしい状況にあったのですが、思い切って参加してよかった。

写真協力:Y.T.氏