アンドレイ・タルコフスキーがドイツ出資の映画製作の話に応じて書いたシナリオ、というか小説形式のレーゼ・シナリオといった形式の作品。
「サクリファイス」のシナリオもこういうほぼ完全に小説形式のを徐々に手を加えて撮影用の台本に仕立て直していったようだが、そちらの実務的なプロセスの研究も知りたいところ。
もっともこの本も約90ページで2500円と読者数からいけば仕方のないけれど相当割高に感じられて、専門家でもない限り手を出さないから、そういうことになる
「ノスタルジア」ではイタリアとロシアが見事に融合していたが、ここでは内容は外面的にはロシア的なところはこれといってなく、映画化されたらほぼ完全に当時の西側的な作品になっていただろう。
E.T.A.ホフマンは以前にタルコフスキーが取り上げたロシア・イコンの画家アンドレイ・ルブリョフ同様に実在の人物だが、15世紀から16世紀にかけた中世人で伝記的な要素がまるでわからないルブリョフとは違って19世紀の近代人でかなり素性がわかっているにも拘わらずまったく伝記的な要素は無視されており、もっぱらホフマンの幻視的な体質、凡人には見えないものが見える体質をタルコフスキーが自分のものとして表現している。
ヴィジュアルは「サクリファイス」のようにヨーロッパの精錬された衣装・調度に彩られたものになっただろう。
鏡が重要なモチーフになっていて、鏡の中に映っている姿が少し過去のものになっていたり、シャミッソーの「影をなくした男」ばりに行方不明になってしまったりといったシーンが見られる。どんな表現になったか色々想像を巡らしてみたいところ。「ノスタルジア」同様に生の仕掛けが優先しただろう。
「サクリファイス」のシナリオもこういうほぼ完全に小説形式のを徐々に手を加えて撮影用の台本に仕立て直していったようだが、そちらの実務的なプロセスの研究も知りたいところ。
もっともこの本も約90ページで2500円と読者数からいけば仕方のないけれど相当割高に感じられて、専門家でもない限り手を出さないから、そういうことになる
「ノスタルジア」ではイタリアとロシアが見事に融合していたが、ここでは内容は外面的にはロシア的なところはこれといってなく、映画化されたらほぼ完全に当時の西側的な作品になっていただろう。
E.T.A.ホフマンは以前にタルコフスキーが取り上げたロシア・イコンの画家アンドレイ・ルブリョフ同様に実在の人物だが、15世紀から16世紀にかけた中世人で伝記的な要素がまるでわからないルブリョフとは違って19世紀の近代人でかなり素性がわかっているにも拘わらずまったく伝記的な要素は無視されており、もっぱらホフマンの幻視的な体質、凡人には見えないものが見える体質をタルコフスキーが自分のものとして表現している。
ヴィジュアルは「サクリファイス」のようにヨーロッパの精錬された衣装・調度に彩られたものになっただろう。
鏡が重要なモチーフになっていて、鏡の中に映っている姿が少し過去のものになっていたり、シャミッソーの「影をなくした男」ばりに行方不明になってしまったりといったシーンが見られる。どんな表現になったか色々想像を巡らしてみたいところ。「ノスタルジア」同様に生の仕掛けが優先しただろう。
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