亜人とは何者か、なぜ死なないのか、死にそうになった時に現れたもう一人の黒い人影は何なのか、声がふつうの人間をマヒされるのはなぜか、新種の亜人はどういう違いがあるのか、などなどわからないことだらけ。それは続編でどうぞというのかもしれないが、わかったようでわからない不満は正直つきまとう。それはそれとしてとにかく追っかけ追っかけでつないでいくから飽きることはない。
今の映画はえんえんと何部作とかで作られたりリブートしたりで一本のラストできちっと完結してカタルシスを残すといったことが薄れた。気が短い人間としてはあまりうれしくない。
死んでも何度でも生き返る、というのは流行りのゾンビと共通していて、生きている実感のなさと死ぬほどの苦しみを何度も味わっている間を往来するというモチーフが今の実感に接近しているということだろうか。
主人公が「クソやろう」だと妹に言われたり急に惚けたようになったりとするのはわかるのだが、ゾンビものみたいに生きていても死んでいても本当に人間性を失うのに比べると十分人間的で何か振れ幅がまだ小さい。怒りや憎しみや恐怖といったネガティヴな感情だって人間性のうちだろう。
CGを駆使した黒い人影の表現がおもしろくて映像化した価値が出た。
敵役が出す名刺に「佐藤」と苗字だけ書いていて名前が書いてないのに何だこれと思う。
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亜人 -衝動-@ぴあ映画生活
映画『亜人 第1部「衝動」』 - シネマトゥデイ