prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「御用牙」

2015年12月27日 | 映画
主演・勝新太郎、監督・三隅研次、原作小池一雄+神田たけ志、脚本・小池一雄(現・一夫) 

1972年というと特に小池一夫原作の劇画を勝プロでしきりと映画化しだした年でもある。封切りを順番に見てみると、

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる 1972.01.15
子連れ狼 三途の川の乳母車 1972.04.22
子連れ狼 死に風に向う乳母車 1972.09.02
御用牙   1972.12.30

と、ほとんど立て続けであることがわかる。
それにしても、この頃の映画のシリーズものって数か月しか間を置かないのだね。寅さんの初期もそうだし、「仁義なき戦い」も全五作が一年半くらいの間に封切られている。

監督の三隅研次をはじめ、前年に倒産した大映のスタッフ主体で作られたが、配給は東宝。五社体制というのが実質崩壊した時期ということになる。

当時、池波正太郎がこの「御用牙」について、原作の劇画を読むと主人公のかみそり半蔵をあらん限りの手をこらしてスーパーマンに仕立てているのだが、驚くべきことに映画の勝新太郎の方がもっとスーパーマンに見える、と書いている。
オープニングの上司に食ってかかる勝のマスクと啖呵は期待を持たせるに十分、といいながら、さあその後がどうにもならない、いやどうにもならないというより、これは古今無類の珍映画になった、と続く。
半蔵が自分のマラに水をかけ棒で叩き米俵に突き刺して鍛えるという描写をえんえんと続けることを言っているわけで、劇画でやるならともかく映画でやるとなると正面きって描けることではないからまことに挨拶に困る珍場面になる。

立ち回りがメリケンサックとか鎖分銅を使い、天井や壁から槍ぶすまが突き出てきたり、どんでん返し式の壁に武器が隠してあったりといったケレンも実写に移すと劇画調というよりマンガみたい、よくいって007で、今だとせっかく勝新なのだから本格的な立ち回りみたい気が強くなる。

ただ勝新が上司にだろうがお偉方にだろうが見境なく噛みつき啖呵をきるのは胸がすく。もう当人が地でいっている感じで、原作の肝でもあるけれど威勢のいい啖呵は役者の華だと思う。

40年前となると出てくる役者がなじみがあってしかも鬼籍に入っている人が多い。勝新の他、西村晃、草野大悟、蟹江敬三、小林昭二、などなど。



12月26日(土)のつぶやき

2015年12月27日 | Weblog

【本棚登録】『おかゆネコ(1) (ビッグコミックススペシャル)』吉田戦車 booklog.jp/item/1/B00JPUB…


#1日1本オススメ映画『イージーライダー』高校生の頃地元のシネロマンで見た。「みんな本当は自由を恐れてる」ニコルソンの台詞に感動。最後Pフォンダのハーレーから黒い煙が。あれを見るたびあの時ロビーに立ち込めた煙草と珈琲の匂いを思い出す pic.twitter.com/2VGeivjcNn

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 15 RT

【本棚登録】『人民元の正体 中国主導「アジアインフラ投資銀行」の行末』田村 秀男 booklog.jp/item/1/4865460…


奇人たちの晩餐会 #1日1本オススメ映画 バカをバカにして楽しむという最低の趣向のパーティを開こうとした本当の意味のバカが落語の与太郎みたいな悪気のないバカに徹底的にコケにされる痛快コメディ。よくできたお芝居をみっちり見せます。 pic.twitter.com/q3Cg1dYPrE

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沖縄抜き「全国戦災史」 国の調査、戦後70年行われず
今日、1押しの記事。国の「戦災史調査」で、沖縄部分の記述が、抜け落ちていることが分かりました。戦後70年、沖縄の本土復帰から40数年たっても「分断」が続いているということです
tokyo-np.co.jp/article/politi…

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 131 RT

@KazuhiroSoda 長年そこにいた経験でいうと、左遷か出世かという判断は公務員はしません。自分の行動が仲間や身内の足を引っ張るかどうか、そのことで自分が孤立するのではないかそういう心配の仕方をします。この連中には倫理より掟の方が大切なんです。たとえ司法関係者でも。

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 146 RT

#私が一番好きなダメな男
「ひまわり」のマストロヤンニ。「黒い瞳」の彼のダメっぷりも絶品。 pic.twitter.com/fEYskaOWjN


昔の〈ロードショー〉スタイルの完全再現。『ヘイトフル・エイト』を70mmで観るとこんな豪華なプログラムが貰える! filmarchivistpov.tumblr.com/post/135913254…

家畜人六号【小暮 宏】さんがリツイート | 14 RT

丸の内ピカデリーは「インターステラー」「母と暮せば」とフィルム上映してきたけれど、「ヘイトフル・エイト」の70mm上映は無理かな。35mmでも我慢するのだが。「インターステラー」はフィルムとデジタルと両方見たけれど、やはり違うのです。

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アメリシウムAmが発見されたのは1944年かー、水をかけてスマン。「日本初の元素国際認定へ、名前はジャポニウムが最有力」 togetter.com/li/917316#c237…


@yapoono6 あ、そうだ。デジタル上映だとスクリーンの左右がずっとシネマスコープ用に開けっ放しで、テレビでシネスコをやると上下に黒味が入るようにビスタサイズだと黒味が左右に入るけれど、「母と暮せば」では黒味なしにきちんとカーテンを閉めていて文字通り画面が締まっていた。

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@yapoono6 実は前に左右をきちんと閉めないのが気になって劇場に投書したことあるのですけどね。効果なしだったのが、今回は特例となったみたい。作り手側から要望があったからだろうか。

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#開始数分でぶっとんだ映画
サンセット大通り
地獄の黙示録
ウエスト・サイド物語
市民ケーン
タクシードライバー
レイジング・ブル


そうか、一年前は新宿ミラノ座がまだ開いていたのか。