prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ようこそ映画音響の世界へ」

2021年04月28日 | 映画
緊急事態宣言で閉じこもることになったからというわけではないが、ホームシアターの音響を少しチューンナップしたのに一番ふさわしいセレクションになった。
モノラルの音響が2chになり、さらに5.1chになる変遷と、5.1ch採用の「地獄の黙示録」の音がいかに画期的だったか手にとるようにわかる。
劇場で見たら(聞いたら)もっと良かったろうとは思うが。

武器の音、ボートの音、セリフ、などそれぞれの音にそれぞれスタッフが専門について責任を持つ、というやり方はディズニー・アニメでそれぞれのキャラクターにアニメーターが専属でついて演技をつけるといったやり方をふと思い出した。

70年代の音の重要性を理解している若い映画作家たちが登場してきて、さらにルーカスとウォルター・マーチとコッポラといった個人的な横のつながりが紹介に次ぐ紹介で広がっていき、それが大きな成果に結びついたのがわかる。

ウォルター・マーチがコッポラ主宰のアメリカン・ゾエトロープに参加する際、映像編集と録音とミキシングとの壁を取り払うと宣言する。実際、マーチは編集とサウンドデザインの両方で大きな功績を残していて、宣言を体現した人と言えるだろう。

バーブラ・ストライサンドが「ファニー・ガール」の歌の同時録音にはじまり、「スター誕生」で600万ドルの製作費に100万ドルを自腹で上積みして録音をやり直したら、ワーナーがその分あとで埋めてくれたので助かったと話す。
彼女をはじめとして、音楽畑の人が映画に参加することが音の向上に多分に貢献したと思しい。

アカデミー賞で録音賞と音響効果賞と音響編集賞どこが違うのだろうと思っていたら、今年から統一されるという。ここではなるほど音部門のそれぞれのパートがオーケストラの楽器のようにそれぞれの役割を果たしているのがわかる。