prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アンダードッグ」

2021年04月14日 | 映画
前編2時間11分、後編2時間25分の劇場公開版があるのだが、abemaTVで全八話に分けた連続ドラマ版で見た。

本来なら両方見比べるべきなのかもしれないけれど、正直これだけ長いと両方つき合うのは悪いけど勘弁してくれと思う。他に見るもの多いのだし。となると、長いドラマ版の方を見ることになる。

前に韓国のボクシング映画で「クライング・フィスト」という、中年ボクサーと少年院上がりの若いボクサーの二人を等分に並行して描いていってどちらにも感情移入できるようにして、どっちが勝つかわからないままクライマックスで対決するという作りのがあった。
それもテレビ版の長いのを作るのを別に作る構想があったらしいが、いってみればその構想を実現したのがこれという言い方ができるかもしれない。

アンダードッグ=負け犬たちとその周囲の人間の生活の描き込みが小さな女の子を含めて女たちの自立と腐れ縁感をこめて長時間かけて綿密で、しかしテレビではまず無理な素材。

第四話=おそらく劇場用の前編のクライマックスの試合の盛り上がり、風間杜夫の父親が息子の奮戦を見てダメ人間だと思い込んでいた息子を認めるところが泣かせる。

第五話以後、後半になるとクライマックスが一度終わっているからまたいったんだらっとするのだが、一話完結にしたからメリハリが出たのではないかという気もする。
見比べてみないとわからないことではあるけれど。

「あゝ荒野」とかこういう配信=放送=長尺・連続ドラマ版と劇場版とを両方リリースされるのが増えたが、今後は前者の方が主で、後者の方はかつてのVシネ・ビデオ映画のように劇場公開はお披露目としての意味合いが強くなるだろう。

役者たちのボクサーなりきりぶりは日本でもメソッドの裔のなりきり演技がデフォルトになりつつあるかと思わせる。