3時間54分におよぶ長尺。全編ハンドヘルド(手持ち)カメラによる長回しの連続で、正直見通すのに忍耐力は要るが、息詰るばかりのリアリティと重苦しさが迫ってくる。
それにしても中国は対外的には威丈高でけたたましく高圧的だが、中に入ってみるとこうも憂鬱で閉塞感に溢れているのかと思う。日本のすぐれた地方映画と通じるものすらある。
グローバリゼーションにより経済的に疲弊した地域(ここでは炭坑町)が切り捨てられ出口なしなのは世界的な現象なのだろう。
監督がこの29歳のデビュー作の後で自殺したというのも、これを作った事でますます自分の状況を閉塞させたということかもしれない。
最後に姿の見えない象の鳴き声だけが夜の闇に高々と響く。
静かに座っている象とは何の暗喩なのか、居座って動かない体制や社会なのか、今あるそれに対する反抗なのか。