1954年公開。
鶴田浩二、三船敏郎の共演作。配役序列では鶴田の方が先。
生まれは鶴田が1922年で三船が1920年、映画デビューは鶴田が1948年で三船が1946年といずれも三船の方が少し先輩。
鶴田は松竹でデビューしたわけだが、1952年に独立プロを設立して大映、東宝、新東宝の映画会社を股にかけて出演、「ハワイの夜」が超絶大ヒットしたりして、東宝に出る時は必ず配役はトップにするという契約だからこうなったらしい。
三船が武蔵を演じた「宮本武蔵 完結篇 決闘巌流島」では小次郎役の鶴田が、クレジットのトップとなったという(現在のビデオでは一番重い脇役、いわゆるトメ扱い。映画本編は未確認)。
当然ながら、三船が硬派で、鶴田が軟派。
冒頭に出てくるダフ屋が大村千吉なのに笑ってしまう。
鶴田はチケットショップの女の子(当時21歳の岡田茉莉子)をたらしこんで横流しさせたチケットをダフ屋に高く売らせたり、その他とにかく行き交う女全員がきゃあきゃあ言うというほとんどマンガみたいな役。
三船の方は子飼いのボクサーを差し置いて自分が先に手が出るような血の気の多い顔役の役。
考えてみると、越路吹雪と三角関係になる女絡みでも商売の上でもコケにされっぱなしの感があって、鶴田が敵役になってもおかしくないのだが、終盤の母親(浦辺粂子)の登場で強引に丸く収まる。
ダフ屋とか八百長が絡む割にのんびりした調子で、最後も警察のお説教で済む。
二人が本格的に対決するガード下の喧嘩がほとんど真っ暗な中に電車の光がさーっと流れてくるあたりの調子はいい。対決そのものは曖昧に終わってしまうのだが。