prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「地下鉄道~自由への旅路~」

2021年12月28日 | 映画
冒頭に残酷描写に対する注意書きが出るが、構えていてもかなりショッキング。
第一話の火炙りになって殺される黒人奴隷をもろに見せる。
第二話で鞭打ちをスポーツのように楽しんで「練習」「コーチ」する光景。

好意と「寛大さ」を持って黒人に接してくる白人の欺瞞も容赦なく描かれる。

「マンディンゴ」もそうだったが、とにかく奴隷制下の白人が黒人を当たり前のようにまるっきり人間だと思っていないのを繰り返し描かれるもので、ほとんどめまいがしてくる。
おそらくこれに近い感覚の(相手が黒人とは限らない)人間がいるであろうことも。

家に近づいていくカメラワークが何度も繰り返されるのが、奴隷たちにとってはホームはないことを逆説的に暗示する。
全十話のタイトルがすべて地名というのが、奴隷制度がアメリカ全体を貫く原罪であることを示すように思う。