孤独、薬物中毒、正確な診断名はわからないがパニック障害のような症状、自殺などネガティブな要素が揃っていて、それでミュージカル仕立てというのは意表を突かれる。
「ウエスト・サイド物語」(オリジナルの方)が社会性をミュージカルに取り入れたのが賛否ともに論じられたのが今やウソのようにミュージカルで政治性や社会性を描くのが当たり前になっている。
セラピーの一環なのかDear Evan Hansenで始まる高校生エヴァンが自分自身に書いた手紙を取り上げた同級生コナーが自殺して、所持していた手紙から両親がエヴァンをコナーの親友だと勘違いする、という見ようによっては喜劇的ですらあるシチュエーションで、よくミュージカルを受け付けない人(タモリとか倉本聰とか)が不自然でついていけないと言う普通の生活の中で歌い出す趣向の塊みたい。腹をくくったようにその不自然なままで押し切っている。
歌うこと自体がセラピーみたいなもので、歌というのはやはり生命力そのものみたい。
SNSの拡散というのはドラマに使うとご都合主義的に見えることが多いけれど、その弊は免れていない。