テレビドラマの劇場版は山ほどあるけれど、テレビでほぼ全部見ていたのは限られる。これはその限られた方。
シリーズ版だけでなく正月スペシャル版も見ているけれど、この劇場版もその延長上でそれほど構えず大げさな設定もしないで、それで二時間の長丁場を見せる。
冒頭の京都の映像がまず魅力的。
シロさんの里帰りに伴って両親の同性カップルに対する頭では理解していても感覚的に受け入れないアンビバレンツが設定されて、それが解決することはありえないにせよ、落としどころをさぐっていくデリケートな感触が映画で見るとより細かいところまでわかる。
派手な波風は立たない小波程度の中で、人と美味しいものを食べる幸せをまず味わうという基本はもちろん変わらない。料理はテレビで見ると手順だけれど、スクリーンで見るとちょっとしたスペクタクルになる。
セリフのデリケートなニュアンスを壊さないように気を配っているのがありありとわかる演技演出。
全体に甘党向きのレシピという感じがする。自分は煮リンゴは砂糖は使わず少量の酢を加えて弱火で蒸し煮にしている。