prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「あの夜、マイアミで」

2021年12月30日 | 映画
ボクサーのカシアス・クレイ(→このドラマの中でモハメド・アりと改名)がチャンピオンになったのを機に、黒人解放運動活動家のマルコムX、アメリカンフットボール選手のジム・ブラウン、歌手のサム・クックといったアイコン的実在の人物四人が一夜集まるというドラマ。

原作・脚本ケンプ・パワーズ。設定からしてこれは元は舞台ではないかと思ったら案の定。
監督は「ビール・ストリートの恋人たち」でアカデミー助演女優賞を受賞した女優のレジーナ・キング。黒人で女性という二重のマイノリティから四人の男を見事にアンサンブルとしてまとめた力量は見事で、それ自体がドラマの方向とかぶる。

アリのイーライ・ゴリー 、マルコムのキングズリー・ベン=アディル 、ジムのオルディス・ホッジ、サムのレスリー・オドム・Jr.の四人が時にあきれるくらい外観もそっくりで、それぞれいかにも言いそうなことを交わす根も葉もあるウソというか、ポップアート的な面白さと、それぞれの背景の立場と思想の重さ。
予備知識は必要な作りではあって、どこまでわかったのか心許ないが、勉強しないとという駆り立てられもする。