犬の映画というと予想されるのと、相当に違っていた。
田中圭の市役所職員が結婚するつもりで新居を用意していたら唐突に婚約破棄され、上役に場所に余裕があるだろうからと捨て犬の世話しないかというので、なぜか声帯を切られて吠えることができないでいる犬のハウと同居することになる。
それで世話しているうちに情が移ってきて可愛がるようになってきたら、ハウはボールを追っているうちに引っ越しのトラックの荷台に紛れてそのまま遠くに運ばれてしまう。
で、ハウはそこから色々な人のもとを点々としていくのがむしろ本筋なわけだが、その中にもともとハウが声帯を切られる原因を作ったDV夫の妻がいるというのは偶然すぎで、またラストの方でもやはり再び引っ越しのトラックに乗ったら田中圭の近くに戻ってしまうというのだから偶然が過ぎる、というよりもともとリアルな話ではないのだろう。
宣材でのストーリー解説だとハウが遠くの田中圭のもとを目指す、とあるけれど、映画見てるとそうは思えない。
DV夫は妻が身を寄せている修道院に乗り込んできて止めようとする修道女にまで暴力をふるい、さらにはカッターナイフを振り回して妻を拉致するのだから凶悪もいいところで見ていてぶち殺したくなるのだが、車で連れ去る途中で事故って炎に包まれかけるところを駆けつけたハウに助けられる。
このあたりハウがかなり神性を持った存在らしいとわかってくる。修道院でつけられた名前がフランチェスコというのは、もちろんアッシジのフランチェスコからとったものだろうし。
ちなみに行く先々でつけられる名前が全部違う。
とはいえ、かなり思ってたのと違う映画でした。パターンと違うのがいいのかどうなのか、なんだかキツネにつままれたみたい。