大西流星がゴミ屋敷になっているアパートを観察して写真を撮っている謎めいた出だしは割りと好調。
その子が好意を寄せる女の子・南沙良の家は、両親と娘二人の四人家族が交通事故にあって、下の娘(妹)は顔に大やけどを負って仮面をつけている、という具合に初めは他者の目から一家の話に入っていく。
それが姉の視点に移って母親が本当に母親なのか疑いだしてくるあたりからやや視点が混乱してくる。
初めのうち意味がわからないうつろな目がぐるぐる回る不気味さの意味がわかってくるのは、しきりと背景から強い光がさしているのを強調した画作りと共にずいぶん考えたものだと思う一方で、理に落ちた感じでそんなに上手くいくものかなと思わせる。兎と人が××するっていうのは本気で考えていいのかどうか混乱する。
玉木宏の父親が坊さんの托鉢用みたいな鈴を鳴らす図というのも、怖いというよりちょっと滑稽さが立ってしまう。
野心的な一方で残念なところも多い一作。