ライオンのCGはますます本物みたいになっていて、フレームが安定しない手持ちカメラ式で、ライオンも物陰を出たり入ったりしているのにまったくズレたりかぶったりしていない。
本職の人たちには何をそんなことでびっくりしているのかと思われるか知らないが、周囲が人工物のない荒野だけになじませようの徹底ぶりにはやはり驚く。
車の下に潜ったイドリス·エルバに向かってライオンが突進してきて顔を突っ込んで吠えてひっかいてきて血が出てくるあたりのリアリティーは、「レヴェナント」の熊も越えている感じ。
アフリカ系イギリス人のイドリス·エルバがアメリカ人医師役でアフリカに行く話で、こういうと何だが現地の特に密猟者たちとずいぶん柄が違う。
白人を主人公にしてもいい話なのだが、そうしたらこういう微妙なニュアンスは出なかったろう。
妻子のために頑張るのではなく、妻は亡くなっているので娘二人のために頑張るというあたりも、女は守るものという図式が成り立ちにくくなっているせいか。
医者だからケガの手当てはできるが、車を盗もうとしてよくあるワイアを出してつないで発進させるようなワザはないというのがなんだか可笑しい。よく映画には出てくるけれど、あれってそうそうできるものではないはずなのに気づく。