すでに死んでしまった友人(の幻影)と旅するといったかなり映画表現とするとハードルが高い題材。
ストーリーが直線的に展開するといった性格はあまりなくて、「野いちご」式のロードムービーと内面の旅とを平行して展開する構造。
モチーフになっているのは、男社会の傲慢さ理不尽さとそれに怒らずに笑っているマリコに対するいら立ちで、クライマックスの二時間ドラマの解決場面みたいな岸壁でそれらの要素がひとつになるが、それまではちょっと緩い。
戻っていくのはブラック企業(上役が堂々とそう言う)の勤務には違いないのだが、その中で生きていくしぶとさは回復している。
永野芽郁が怒りを爆発させっぱなしみたいで、それがいわゆるヒステリックでなく厚みがある。