国立映画アーカイブの小ホールの青山真治監督追悼特集にて。
金子正次の原作からは川島透監督、柴田恭兵、ジョニー大倉主演の「チ·ン·ピ·ラ」がすでにあるわけだが、そこからよくこれだけ違うリメイクができたもの。
六尺ちりめんぱらりと散って、と主人公の大沢たかおがずうっと呟き続けていて、金子正次の「竜ニ」の三尺ちりめんぱらりとと散ってのもじりらしいが、ダンカンが大沢たかおに、おまえ六尺あるんじゃないかと言う(大沢たかおは実際は183cm)のに妙につながってくる。そし六尺ってどれくらいだと聞かれたダンカンが181cmとが答えて、工業高校だったかに通っていたんだよなと問わず語りに語る。
Vシネマの一本として作られたわけだが、フィルム撮りなのでスクリーンに写すと一瞬おっと思うくらい普段シネコンで見ているデジタル上映と違う。
違いにはフィルムの傷も入っているわけで、いいことばかりではないのだが、そうだこの手触りなのだったと改めて確認。
出演者の片岡礼子と甲斐真樹プロデューサーのトークが上映後にあって、意外なようだが別の監督で準備していたのが途中で変わったのだという。
Vシネのフィールドで一種の暴力エンタメを担ったわけで、クールな肌触りや光石研、寺島進といったキャスティングは結果としてだが北野武映画に受け継がれることになる。
ラストシーン近くのワンシーン内、あるいはワンカット内の時間の巻き戻しの技法など、ちゃっかり映画的実験をやっている。
製作当時の1996年の歌舞伎町の風景が今とかぶるが違う。コマ劇場がまだあるし、ゲームセンターのゲームがいかにも古い。