予告編を見たところでは、モリエールの「人間ぎらい」みたいにおよそ空気の読めない、あまりに本当のことしか言わないものでトラブルを起こす男の話かと思ったらそういうわけでもなくて、基本は「おみおくりの作法」の日本版リメイクだという。
しかしこのところ、「マイブロークンマリコ」「川っぺりムコリッタ」と骨壺がむき出しで、つまり無縁仏が出てくる日本映画が続く。単純に現実の反映だろう。
特殊清掃人という、亡くなった跡の後始末をする仕事があるのだが、それを公務として半ばすすんでやっているのが主人公。
個人的には仇役である市長の、人は死んだら終わりで葬式や墓など必要ないという考えに近いのだが、この主人公のように過剰なおせっかいなくらいに亡くなった人の弔いをしたがる人がいるのは理解できなくなもない。
ほとんど何も残さずに死んだ人ような人でも周囲から固めるように描いていくと、それなりの人のつながりもあることがわかってくるのが後半の眼目になっている。
はっきりとは描いていないが発達障害みたいな感じ。一度に処理できる情報量が限られていて(しきりと、自分が視角狭窄になっているのを自覚して身振りで伝える=写真↑)、しばしば言外の意味を理解できずコトバそのまんまの意味で受け取ってしまうとこなど。
庄内市という実在の市の設定というのにちょっと驚いた。
田園風景や鶴が飛んでくる姿など郷土色を内容に織り込んでいる。
宇崎竜童がほとんど写真だけの出番でラストとエンドタイトルの歌でさらってしまうのは、なかなかズルい。